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普通の人のエコロジー入門
第1章 なぜ、普通の人のエコロジー?
地球にやさしくとは言うけれど・・・(その1)

僕がエコロジーに関わるようになって13年が経った。今でこそエコロジーオンライン理事長、循環型社会ネットワーク研究所代表取締役なんて偉そうな肩書きを持つ身だが、最初の7、8年は、あっちにぶつかり、こっちにぶつかり。エコロジーに関わる仕事で生計を立てる夢とはほど遠い生活を送っていた。(13年前、会社を辞める時に公言したのが「環境に関わる仕事をする」というものだった。ただ、前職のレコード会社の宣伝という仕事と環境の接点がなかなか見つけられずに苦労の日々が続いていた。)

 そんな僕が、今のように100%エコに関わることで仕事が成り立つようになったのはつい最近のことだ。それまでは、非合法のことこそやらなかったものの、英会話塾の経営、予備校講師、パソコン講師、フリーライター、ウェブ制作、リサイクルショップ経営など、とにかくいろいろなことをやった。その頃はマジで300万円前後の年収が続いた。経済評論家の森永卓郎氏が『年収300万円時代を生き抜く経済学』という本を出版しているが、実際に体験したものからすれば、“やっぱりもうちょっと欲しいよな〜”というのが本音。そうした生活をエンジョイするにもやはり家族の理解が不可欠ですからね。ま、ここが一番、難しいんですけど。
 で、とにかく最近、その頃の体験が糧となって、環境に関する雑誌、ウェブ、イベントのコーディネートなどで、なんとか家族4人が食べられるようになったわけだ。

 さて、こんな人生を送ってきた僕と会うと、人はいくつか決まった反応をする。

その1 君、何で稼いでいるの?

 こういう反応をするのは、おもに会社に永く勤めている管理職の方、安定した職場の方、定年退職をして悠々自適な生活をされている方などが多い。エコロジーオンラインの活動内容などを散々説明した後に「ところであなたの収入源なんですか?」と聞かれ、「これこれこうです」と説明すると、それまでの悩みが吹っ切れたような笑顔を見せられるなんてことはしばしば。戦後の高度成長やバブルを体験した彼らの本音は「やっぱり男は仕事だろう!」というあたりにあるのか。やはり「プロジェクトX」のような高度成長型のストーリーが彼らの美学とマッチするようなのだ。

その2 あなた、環境で稼いでいるの!

 その逆で冷たい視線を感じることもある。こういう反応をするのはボランティアを一生懸命されている方やピュアな心を持った方に多い。地球環境を守ることは純粋なことだから、それでお金を稼ぐとは何事だ!と考えているのかもしれない。でも、ボランティアをしている多くの方の経済的な基盤を支えるのはお父さんやご主人の収入であったり、僕らのような現役世代によって賄われている年金であったり、サラリーマンなどの支払った税金や寄付金であったりする。多くの人がそうであるように自給自足的なコミュニティーに住んでいない限りは、どこかでお金のお世話になっているとは思うのだが・・・。

その3 もっと頑張って稼いで!

 最近ではこう声をかけてくれる人も増えてきた。おもにジャーナリストや環境の専門家の方に多い。僕のようにNPOやNGOをやっていても35歳くらいになると家族を食べさせられずにやめていく人が多い。そういう人たちを多く見ていて、しっかりと仕事として自立できないと持続的な活動にならないと感じ始めているわけだ。友人のジャーナリストなどは「早くもうけてベンツかなんかに乗りなよ〜」と乱暴なことを言う。そうすれば環境がビジネスになると思って多くの人が振り向いてくれるよというわけだ。

 それぞれの人の反応を見ていると、良きにつけ悪しきにつけ、お金を稼ぐという行為と環境の間にはなにか深い関係があるような気がする。

 そうしたことを踏まえ、家族3人を食わせているごく普通の中年男が、いかにエコロジーするか。こんな命題についてこの連載で綴っていきたいと思っている。



上岡 裕 (カミオカ ユタカ)

1983年4月、国際基督教大学卒業後、(株)ソニーミュージック・エンターテインメント(SME)入社。在職中は大江千里、エレファントカシマシなどの宣伝を担当。91年4月、SME退社後、フリーライターに。1991〜1992年にかけ、アメリカ西海岸バークレー市に滞在。インターネットに出会う。1999年5月、インターネットメールマガジン「普通の人のエコロジー」創刊。2000年3月、エコロジーオンラインを創立。




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