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ハッピーなライフスタイルを探して
エコ-フレンドリーリビング
vol.3
風を見る人、雲を聴く人
日本の今年の夏は、台風の上陸が観測史上いちばん多かったと、ニュースで伝えていますね(ついでに30℃以上の真夏日も最多記録だそう……)。集中豪雨も多発して、日本各地でそのつめ跡がざっくり残った残暑でした。
そんな夏のある日(たぶん台風一過だったと思います)、某編集部で打ち合わせのときに出たなにげない会話。
「夕べは風が強くて、コワかった〜。ちょっと眠れなかった(笑)」
とS嬢がテレ笑いをしながら告白。わかるわかると「じつはワタシも〜」とワタシも白状。2人で「やっぱりぃ〜?」って大笑いをしました。いい大人が情けない、という笑いでもあったのですけれど。夜吹く風の音って、どうしてこんなに不安な気持ちにさせるんだろう?……と、思います。
オーストラリア、タスマニアに暮らしていた頃も、やっぱり風が強い夜があって(特にタスマニアは南極から吹きつける風が強くて)、「風の音って、こんなに怖くて、不安にさせるんだー」って生まれて初めて実感しました。一人暮らしだったからよけいに心細くなりました。ワタシは都会育ちだからか?風の音に慣れてなくておののいてしまう。でも、こんなふうに畏れ(恐れ)る気持ちは、自分を謙虚にしてくれますね、コントロールできるものは数少ない、と。
ところが。風の音などに不安にならないであろう人に、今年は2人も出会いました。
一人は、宮城県の唐桑町に住む畠山重篤さん。10年以上前に、「森は海の恋人」というキャッチフレーズとともに始まった植林活動の中心人物なので、知っている人も多いと思います。牡蠣の養殖が本業の漁師さん。河口域の豊かな生態系は、その上流にある森が健全であり流域も同じくらい汚染されていない状態のおかげということを、職業柄の豊富な経験と、学者並みの好奇心と調査力と理解力でワタシたちにわかりやすく伝えてくれる人です。
もう一人は、熊本県水俣市で最初の水俣病患者と認定された杉本栄子さん。こんなスペースでは書きれないほどの、ワタシたちが想像を越えた大変な経験をしながらも、いまも現役の漁師さん。その傍ら水俣病の語り部として経験談を話をしてくれる女性です。
ともに取材で全く違う月に訪ねたのですが、たまたま訪ねた時は風が吹く日でした。
畠山さんは「明日は(風は)ぴたっと止むから」と冷たい強い風に縮み上がるワタシたちに言いました(その予報通り、翌日は空気はぴたりと動くことなく晴天!)。
夕暮れの水俣湾は雲に覆われ、明日の天気を心配するワタシたちをよそに、杉本さんは「海を見ればいい。海は雲を映すから。それでわからなければ雲に聴けばいい。風が教えてくれる」と言いました。
きっと自然とともに生きている人は、自然からの恵をダイレクトに得て生きている人は、『“自然”に添える感覚』が発達しているんだろうと思いました。自然の脅威(驚異)を知っているからこそ、畏れ感謝して生活しているんだろうな、と思います。
残念ながらワタシたちは、そんなふうに“自然”には添えないホド、感じられないホド遠い処で生きているのかもしれませんね。だから天気も時間させも思い通りになると勘違いしてしまうのかも(思い通りにならないと怒ったりして)。だから夜の風の音におびえたりするのかも……。
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イノウエ*アキコ
スキューバダイビング専門誌の編集を経て、情報誌などの制作・編集に関わった後、1999年10月に渡豪。タスマニアで環境保全、オーガニックを学んだ後、パーマカルチャー【永続的かつ自給自足な生産を可能にするためのランドスケープデザイン】を修める。2001年8月から04年2月まで周期的にヴェトナムでNGOの活動を通してパーマカルチャーを実践。東京在住、雑誌を中心にペーパープリンティングの編集・ライターに携わる。 |
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