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Ecology on Wheels 〜クルマにまつわる環境学〜
vol.5
続 エコバス・“プロジェクトX”

乗ってみるといいことずくめのエコバスなのにまだ日常どこでも見かけるほどは走っていない。丸の内シャトルに続き、最終回は都バスのエコ化について東京都にインタビューしました。

 前回リポートした通り、ガスタービンEVバスを使った丸ノ内シャトルは、お客さんから代金を集めるのではなく、地域のまちづくり協議会などが街作りの一環として行なっている事業だ。
 でも、普通の路線を走る燃料電池の都バスは、丸ノ内シャトルとは何もかも違う。東京都環境局※1)の谷口信雄さんに、バスの値段を聞いてみると、「研究開発費を考えると、値段の付けようがないようです※2)」という。いろいろな情報を総合すると開発費は億単位と言われている。「貴重なバスを提供していただいていますので、私たちはバスを傷つけず、良いデータを取れるように、経験豊かな乗務員と力を合せて運行面で協力しています」ということからわかるように、都が人員と走行環境を提供して、都バスとして燃料電池バスを走らせる目的は、将来の環境対策につながるデータ取りだ。そして、「テストに充分な時間は走りましたから、これからは人目につくところを走らせて燃料電池や水素エネルギーへの理解を高めたいと思っています」という。今後は、銀座や皇居付近といった路線を走らせる計画だ。
 じゃあ、やっぱり沢山作ってバンバン走らせたらいいじゃん!と思うけど、まだ実験段階の技術なので、どこで誰が運転してもいいってわけでもないらしい。なによりの問題は費用だ。有明の水素ステーションで入れてもらう燃料は実証試験ということで無料だが、バス製作への補助金はない。運転手の人件費は都が、製作費とメインテナンス費用はトヨタと日野自動車が負担している。都バスの運賃200円では、こうした費用をまかなうことはとてもできないのが実情だろう。じゃあ当分エコバスはおあずけでしょうか?と聞くと、「愛知万博※3)のためにトヨタが10台の燃料電池バスを作り、その後の利用が検討されています」というから、近々東京以外でも乗れる日が来るだろう。
 ちょっと先の未来にはたくさんの燃料電池バスが走る日も来るかな、と思う。けれどまだ、実用化までには乗り越えなくちゃいけない壁が山ほどあって、それまでの間、できることをする−−例えば、ディーゼルの代わりにCNGバスを走らせる−−のが、今の段階みたいだ。

 さて、皆さんのお話をうかがって分かったのは、今回紹介したエコバスはまだ未来の乗り物だけれど、着実に次世代に向かって進んでいる、ということ。今はまだディーゼル臭くて、排ガスが汚いと思われているバスが、近い将来、クリーンでもっと楽しい乗り物として復権するはず。バスに対する私たちの考え方も、それまでに次世代化しなくちゃ、ね。

vol.6>>燃料電池車の試乗会、はじめました!

 


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※1正確には、東京都環境局 都市地球環境部 計画調整課。以下に、プロジェクトは始まった経緯を補足する。JHFCが発足する前、国土交通省と経済産業省が燃料電池の実用化について検討しており、同じ頃、都が温暖化防止対策を進めていた。両者の狙いが一致して、去年の8月から2004年末まで、JHFCの実証試験と連携してトヨタ・日野の燃料電池バスが都バスとして走ることになった。

※2トヨタによれば、ボディの制作費は一般のバスと同じ約2000万円。そこに自慢のハイブリッドシステムを始め、160リットル(350気圧)の水素タンク5本、90kWの燃料電池×2、21kWの2次電池など、最新のシステムが搭載されている。

※32005年3月から、愛知県で開催される2005年日本国際博覧会の略称。会場は、名古屋東部丘陵(長久手町・豊田市、瀬戸市)となる。トヨタ自動車は、長久手会場内の移動手段に無人で隊列運転ができるバス(IMTS)、長久手−瀬戸会場間の移動手段に燃料電池バスを開発・提供する。
 2005年日本国際博覧会協会 公式ホームページ
 http://www.expo2005.or.jp/


川端 由美 (カワバタ ユミ)

1971年生まれ。大学院でセルロースや炭素などの天然高分子を専攻(材料工学修士)。エンジニアとして就職するも、子供のころからのクルマ好きが高じて自動車雑誌の編集部に転職。エンジニア時代に電気自動車用の部品を設計した経験を買われ、次世代自動車の企画を担当する。3年前に長男を出産してからは、自動車の安全対策、環境やエネルギー問題といった次世代に与える影響を総合的に見られるようになったと感じている。母親、技術者、そして自動車ジャーナリストというハイブリッドな目線を活かしたリポートを展開する。


 

 

 

photo バス亭に向かってくる燃料電池都バス

photo 社内のモニター表示

photo 有明からお台場を望む車窓風景

photo バス後ろ目(エンドタイトル)

 


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