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緑の街と緑の人びと
第一回
はじめまして。環境首都として名高い、ドイツ・フライブルク市に在住しています村上です。実は私、日本のある建設会社で現場監督をしていました。しかし東京湾の埋め立て工事を行えば行うほど、将来の環境に不安を覚えるようになったのです。それで環境保護で有名なフライブルク市に8年前にやってきて、住み着くようになりました。実際にフライブルク市に来て生活をはじめてみると、日本のメディアでは取り上げられていないすばらしい環境保護を数多く体験することができました。
しかし環境首都フライブルクも完璧ではありませんから、様々な問題を抱えています。良い事例も背景を裏返せば妥協の産物であったり、スキャンダルもあったりと、色々なのです。こうした点を考慮しながら、既存のメディアでは紹介されていない、あるいは短期間の視察では見ることができないフライブルク市の姿をレポートしてゆきたいと思います。なぜなら環境保護の分野では、他国は進んでいるなあと感じさせるだけでなく、日本で適用できるように先進的な事例を解釈、翻訳して紹介するべきだと思うからです。ですから、フライブルク市の生活を含めた日常的な取り組みから、法規制などにいたるまで幅広くお伝えするつもりです。はじめに今回は私が住んでいるフライブルク市をざっと紹介しましょう。

この街の見所は、中世の佇まいを今も残す古い街並みとその中央にそびえる美しいゴシック様式の大聖堂です。この大聖堂の建造には、せっかちな日本人にとっては気の遠くなるような年月がかけられています。工事開始が西暦1200年、そして完成が1513年と建造をはじめた人の孫でさえ完成が見られません。こういった世代を超えたスケールがキリスト教の、そして西洋の本質ともいえるでしょう。
またフライブルク最大の産業は由緒ある歴史を持つフライブルク大学です(成立が日本の室町時代にあたります)。フライブルク市はまさに「大学街」であり、学生数は市の人口の1割に当る2万人以上。大学病院や研究機関がひしめいているのも特徴です。
フライブルク市のもう一つの特色は、市内に圧倒的な緑が存在することです。市内には実に130ヶ所を超える公園が整備され、2万5千本の街路樹が植えられています。これほど緑が充実している街は、世界でも珍しいのではないでしょうか。さらにフライブルク市の緑は減ることなく、将来も増え続けることが約束されています。それは市の条例が、自分の庭の木であろうとも勝手に切ることを許していないからです。
この「緑を守る条例」の話は次回に詳しくお伝えしましょう。環境とはドイツ語でウムベルトといい「身の回り全ての世界」を表します。次回からのフライブルクの身の回りの世界にご期待ください。

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村上 敦
(ムラカミ アツシ)
1971年生まれ。岐阜高専土木工学課を卒業後、ゼネコンに入社。東京湾埋立工事 などにおいての環境破壊の惨状に疑問を感じ、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク大学独文科に在籍しつつ、ドイツの環境政治・行政を学ぶ。途中ドイツ人女性と結婚し、休学。その後、フライブルク地方市役所・建設局に勤務し、
現在は日本の環境機器メーカーのアドバイザー、兼主夫。HP(www.geocities.jp/freiburg2004report/)でフライブルクの行政についての分析を行う。」 |
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フライブルク基本情報
■市名/Freiburg im Breisgau
■位置/ドイツの南西部。フランス、スイスの国境に近い。
■気候/平地は乾燥して暖かいシュヴァルツヴァルトでは風が強く寒い。
■人口/約20万人
■面積/約103平方キロメートル(うち3分の1が森)
■特徴/ドイツ南西部「黒い森」のふもとに位置する中世の趣を残した大学都市。
1972年に隣接した地域に原子力発電所の建設が予定され、町をあげての反対運動で阻止。
これをきっかけに、市民と行政の両者が積極的に環境保護に取り組むようになり、1992年に「環境首都」(=自然と環境の保全に最も貢献した自治体)の称号を与えられた。


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