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白井貴子の『地球と仲良くね!』-01

地球という『夢』に生きる!

こんにちは。白井貴子です。
6月5日、愛・地球博のエキスポホールで環境省主催のイベント「自然ふれあいトークリレー」に参加しました。自然関係のTVで有名な千石正一先生や日本の里山に魅せられ日本に移り住んで観察を続けているニューヨーク出身のナチュラリスト、ケビン・ショートさん,沖縄のサンゴの研究をしている先生などなど、沢山の自然大好き人間が大集合!

皆さん、話の内容は地球環境のことを踏まえた、もの凄いスローライフな内容なのに、さすがに自然に夢中な方々ばかりのおしゃべりはハイテンションで、ターボかかりっぱなし!私には、先生方の頭の上に、少年の頃の黄色い帽子やヤンキースの野球帽が見えました。あの虫籠と網を持って野山で遊んでいた頃のように!

千石先生の話で一番印象的だったことは、「この地球上には何千、何億という生き物がいて、人間はそのうちの一つ。虫や動物によっては、嫌い、怖い,気持ち悪いと思う人もいるだろうけど、みんな私達の仲間。だからのけものにしないで!トキや鶴も数は増えているとはいえ大変な状況なのです。いつも仲間のことを考えてください!」と目を赤くして今にも泣きそうな声で言われたことでした。

またケビンさんは子供達に「ケビンはね、日本に赤とんぼが沢山いることに、まず本当にびっくりしたの。最初、その赤とんぼっていうのは、とんぼの名前だと思っていたら、そうじゃなくて、赤とんぼには、何種類もあると知り、またびっくりしたの。大自然もいいけど、日本の里山の雑木林、そして水辺や田んぼの生き物が複雑に入り組んだ多用な日本の自然はまるで一枚の超特大のジグソーパズルのようで本当に素晴らしいんだよ!」とうれしそうにお話されていました。子供達の里山での活動報告も完璧で、みんなもの凄く優等生、おりこうさんな感じです。

そんなリレートークをしめくくるのが私のライブだったんですが、皆さんのお話を伺いながら、だんだんと私のロック魂というか、ついつい私の悪い癖、世の中をハスに見る癖が出てきちゃった!もちろん、それぞれの先生方の真剣で誠実なレクチャーは感動的です。また全ての動物を大切にしたい気持ちは私も同じです。
 でもそれを承知であえて私は言ってしまいます!
 私は基本的に, 今のこの時代、子供達に「やれ里山体験、とか自然を大切に」なんていうのは、子供達がかわいそうというか、気の毒な思いがしてならないんです。なぜって、それを言葉にしなくてはならなくしたのは「私達大人」なんですから!もっというなら、戦後の大人達、私だって被害者の一人なんです。だから怒りというか、まず私には素直になれません。とーっても複雑な思いです。私が今、子供なら大人達に向かってモヒカンに刈り上げてロックしちゃうぜ!(笑)って感じです。

 とにかく、とにかくつべこべ言わずに「自然に接する時間を子供達に沢山与えてあげて欲しい!」と私は思うんです。そんな自然を復活させ再生する任務があるのは大人だけで、そこで子供達は遊べばいいだけなんです。幼い頃、とんぼの羽をひっこ抜いたり、蛙にバクチクを詰め込んで爆発させる男の子達を見て、心がそれこそ爆発しそうなくらい, 色々なこと思ったあの小学校の帰り道や森や田んぼがやけになつかしい。田んぼに入り込んでも誰からも決して叱られることなんてなかった、あの優しい時代が恋しいです。

本来の子供の世界は, 好奇心に満ち満ちていて危険だって沢山ある、そんな体験こそが宝ものです。だから「自然を大切にしましょう!」というとこから教えてゆく今のやり方にはちょつぴり私、抵抗がある。これは「そんな残酷なことを子供達はやった方がいい」と言っているのではありません。あくまでもたとえばのお話、ただ豊かな自然に包まれる時間を子供達に与えてあげることに大人達は頑張らなくてはいけないという話です。「あれしちゃダメ、これもダメ!危ないからダメ!」じゃなくて、子供の頃のそんないたずらの一つや二つは当たり前、転んで怪我してもいいじゃない!ズルっと皮が剥け、土が入り込む、泣きそうなくらい痛い、でも歯をくいしばって我慢、我慢。
 そんな経験を積み重ねながら初めて人の痛みもわかる人になる。芯から強くやさしい人になる、そう思うからです。
今のやり方はなんだか「痛みを知らずして、自然を学べ」と子供達に強要している、これもまた大人のエゴのように思えます。だから私は今の子供達の行く末がとっても不安です。木があると、落ち葉のそうじが大変だから木を切って!と苦情を言うような話を聞くだけで、なんだか悲しい気持ちになります。「だから今、そんな大人が多いからこの日本はわけのわからない、信じがたい子供の事件が起こるのよ!」とこの10数年、私はずーっと思ってきました。実践あるのみの私のコツコツ人生はそんなところから始まったのかもしれません。
 
愛・地球博の会場を見学すればするほど、人間が現代社会で忘れてきたものが, 如実に見えるような思いがします。勿論「自然の叡智」をテーマにそれぞれのパビリオンが国を挙げて最先端の知恵を出し合っているのは、本当に素晴らしいことだと感動する部分も沢山あります。でも一番に思うのは「私達大人はテクノロジーを駆使しなくては、次の時代を担う子供達に自然の偉大さを伝えられなくなってしまった、仲良くできなくなってしまった。」ということ。バラの香りを機械で嗅ぎ、海の砂を照明の元に運んでこなければ「地球のありがたさ」に気づけなくなってしまったことは、大きな本能を一つ失ってしまったようにも思えます。
あと50億年したら、温暖化、温暖化を重ねながらしだいに地球は沸騰・蒸発し、ついには地球は消えてしまう運命なんだそうです。なんだか信じがたい話です。でもだからこそ少しでも「温暖化を遅らせて地球に長生きしてもらいたい」と思います。
 また地球の運命を思うと私には何もかも全てがもしかしたら「夢なのかもしれない!」とも思えてくるのです。そう!地球に生きる私達はかけがえのない星「夢という星」の中にきっと生きているんです!虫も動物も魚も木々も人も、何もかもが最高の芸術、決して科学では作りえない奇跡の賜物です。きっとこの世のもの全ては神様から選ばれた一員なんです。

「私達は夢の中に生きている。」そんな目で、もう一度この世界を見たら、何もかも素晴らしく思えてきます。悲しいことなんてそんなにないのかもしれません。空を見上ればまばゆいほどの星が輝く。その宇宙に身を任せ、今という夢を楽しむために私達は生れてきたんです。きっとそう!私達は日々夢という幸せの中に生きているんです。

 




白井貴子

神奈川県出身、シンガーソングライター。1981年デビュー。ハードなパフォーマンスから「ロックの女王」と呼ばれ、女性ポップロックシンガーの先駆者的存在となる。1988年充電のためロンドンへ。ここで、厳しい環境のもと強く生きる「野生のマーガレット」と出会い、新たな人生観を見いだす。以降、環境問題や教育問題へのイベントにも積極的に参加。1996年以降「NHKひるどき日本列島」レギュラーとして活躍、1998年オリジナルレーベル「ROD」設立。現在では、映画、演劇、CM、TVコメンテーター、ナレーション、エッセイなど幅広く活動中。










 



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