明日2月16日に、京都議定書が発効されます。世界の国々が具体的な数値目標を掲げて、二酸化炭素の削減を約束した「京都議定書」の発効で私たちの暮らしはどう変わっていくのでしょうか?
議定書発効には、WWFをはじめ、多くのNGO/NPOが大きな役割を担っています。今回は、WWFジャパン自然保護室気候変動日本担当シニア・オフィサーの鮎川ゆりかさんにお話をうかがってきました。
京都でCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)が開かれたのは、かれこれ8年前のこと。その後何度も話し合いを重ねて、最終的な温室効果ガスの削減方法のルールを定めたのが、今回発効する「京都議定書」だ。アメリカが2001年に参加決定を翻したことで一時は発効すら危ぶまれたものの、昨年末にロシアが批准し、なんとか発効に漕ぎつけた。
「世界が温暖化防止の一歩を踏み出しました。アメリカが抜けて二酸化炭素の削減量は少なくなりましたが、多くの国(排出量合計で55%以上)が肯定したことで、彼らも追従すると考えています」と、鮎川さんは分析する。
ついに現実化した京都議定書だが、ここまでの道のりは平坦ではなかった。
「温暖化による海面上昇に危機感を抱いていた小島諸国連合は2010年までに20%の削減を求め、当初から問題意識を持っていたEUも高い目標を掲げました。しかしその他の国がそれぞれの主張をして一時は政治色が強まりました」という。しかしNGOとしては、最も被害を受ける立場−−国が海に沈むかもしれない小島の国々−−の意見を推してきた。日本でも最後まで産業界の反発があったが、衆参両院で京都議定書を批准するという決議があったため当初の姿勢が貫かれた。この決議を後押ししたNGO/NPOの役割は大きかった。
最後まで議論されたのは、海外での二酸化炭素削減を認める「京都メカニズム」の導入だ。国内よりコストの安い海外で二酸化炭素削減に努めたほうが効率がよいからだ。国内の努力をなおざりにし、二酸化炭素を売り買いすることが疑問視されたとはいえ、最終的には各国が連携して効率よく二酸化炭素を減らすことが重視された。とくに日本では、海外で植林を行なう動きが進んでいる。
「森林は二酸化炭素を循環させるだけで、減らすことにはあまり効果がありません。将来的には、やはり使用エネルギーの総量を減らさなくてはならないでしょう」と、鮎川さんは今後の課題を語る。議定書発効までは国家間の駆け引きやNGOの活躍が重要だった。そして今後の目標達成に向けては、私たち一人ひとりの取り組みが大切になってくるのだ。
「電気をこまめに消すなどの節約とともに、家電など買い換えるなら省エネ製品を選ぶといいですね。省エネラベルのような一目でわかる工夫が必要です」
省エネルギー策として最も有効なのは、太陽エネルギーの活用だ。
「地上に降り注ぐ太陽光は、二酸化炭素を出さないエネルギー源です。サマータイムを導入するとか、日当たりの良い建物を建てるなどでずいぶん違ってきます」
世界の環境NGOのネットワークであるCAN(気候行動ネットワーク)は、産業革命から2100年までの間の平均気温の上昇は2℃以下にしたいとしている。最近WWFは「異常気象:自然は持ちこたえられるか」というレポートを出し,気温上昇は1.5℃以下に抑えるべきとする主張を発表した。
「現在の異常気象は、産業革命以来たった0.7℃だけ平均気温が上昇したことによって引き起こされています。温度上昇が直接的に生む不利益だけでなく、それによって生じる異常気象の影響が大きいのです」
少し前まで地球温暖化という言葉は絵空事のようだったが、今後なにも対策を施さなければ映画のような天変地異を目の当たりにするかもしれない。たとえ、ひとり一人のできることは小さくても、やれることから始めることが重要だ。
|