エコロジーオンライン 
エコピープル 環境ニュース エコ・コラム
 top >>> eco-People  >>>塩見直紀さん

eco people file no.17

京都府綾部市 塩見直紀さんにお話を伺ってきました。

半農半スロービジネス、半農半社会起業、半農半コミュニティビジネス、半農半ヘルパー、半農半スクールカウンセラー、半農半カフェオーナー、半農半寺子屋、半農半シンガー・・・。21世紀のライフスタイルのひとつとして、半分を「小さな農」、そして、もう半分「大好きなこと」で社会変革をする生き方「半農半X」を提唱するのは、京都府綾部市在住で、「半農半Xという生き方」著者の塩見直紀さん(40)だ。

京都市からJRの特急列車で一時間余。「自然豊かなのどかな里山と平和を愛するこころのまち。グンゼ、大本教、合気道の発祥の地」。それが京都府北部に位置する人口3万8千の綾部市。農家民泊などを楽しむ旅人や、田舎暮らしで生き方を変えたいと願う移住希望者が、多数訪れ、新たなライフスタイルを見出す場となっているのもまちの大きな特徴だ。

「21世紀は環境問題と天職問題(自分探し、天職探し・・・)が大きなテーマだと考えています」。これまでの経験や、これからの未来をじっくり考えて出て来た彼の言葉の背景はとても壮大で、魅力溢れている。「大震災、巨大台風、地球温暖化、少子高齢化・・・。そんな時代をどう生きるか、また、これらの課題に対して何をすべきか。僕はこの大変な時代をひとりひとりがしっかりと自分の役割を受けとめ、小さな行動を起こすことが重要だと思います。そこで、『半農半X』というひとつの生き方を、スローに暮らしつつ、大好きなことを武器にレボリューションする生き方を、社会に提示しました。これからの社会を担う若い世代へのメッセージでもあります」。

塩見さんは、自身が定めた「33歳」という締め切りを機に1999年、サラリーマン生活を卒業、故郷・綾部にUターンした。自分の田畑で米を100%自給し、大根やネギ、ピーマンなど、身近な野菜を育てている。その一方で、大好きなことや得意なことを仕事にし、社会的な課題にかかわるという充実した生活を送っている。そうした生き方を「半農半X」と名付け、提唱・実践しているのである。それは、屋久島在住の作家・翻訳家、星川淳さんの著書から『半農半著』という言葉に出会ったのがきっかけだという。「この生き方は21世紀の生き方・暮らし方の一つのモデルにきっとなると直感しました。みんな、自分の“X(未知なる何か)”を探しているのかもしれない。“半農半著”の“著”の部分に“X”を入れてみました。すると・・・。これは難問を抱えた人類におそらく応用可能な、21世紀を生きるための一つの公式になるのではないかと思ったのです。持続可能な生活を送るための“小さな農”、“天与の才”を世に活かし、社会的な問題を解決するための“X”。20世紀が残した難問群を解決するには、この2つのことが同時に必要なのではないかと確信したのです。それはいまから10年前、1995年、30歳のときでした。」

2003年、塩見さんの著書「半農半Xという生き方」が発売となり、20代〜40代の読者から大きな反響があったという。中には、実際に半農半Xの実践を始めた方も多いそうだ。半農半Xを実践する人にアドバイスするとしたら、「無理はせず、できる範囲の中で生活の一部に“農”を取り入れてみることが大切です。むしろそれより難しいのは、やりがいがあって収入の得られる『エックス』を見つけることでしょう。『エックス力』を高めていかないとうまくいかないのかもしれません」。塩見さんの場合は、半農半Xというコンセプトを見出したことで自分のエックスを発見し、人生でフォーカスすべきことがわかったそうだ。彼は、だれかの「X」探しを応援する「半農半X研究所」や、「里山ねっと・あやべ」というまちづくりの活動など、故郷・綾部のミッションを応援することに、自らの「X」を見いだしたのである。

2006年1月、ソニーマガジンズより新刊「半農半Xという生き方 実践編」が発売された。ここでは、都会や田舎を舞台に、それぞれのスタンスで「半農半X」を実践する人々が多数紹介されている。「企業にいても同じかもしれませんが、自分が得意なことを見つけて伸ばしていくことがポイントだと思います。限られた人生の時間を生きるのですから、自分の“使命”をしっかり認識し、何を優先すべきかをしっかり考えたほうがいいと思います」。半農半Xを実践するには、個人の得意分野を提供して対価を得る、持続可能な経済構造を形成することが成功のカギとなるようだ。また、エックスが忙しすぎると家族との団らんの時間がなくなってしまう。半農半Xはそうあってはならないようだ。

では、半農半Xという生き方、暮らし方がもたらすものとは一体何なのであろう?「それは持続可能で、魅力溢れる多様な社会。後世に生き方の贈り物をする社会などが形成されることでしょう。一人ひとりが天の意に沿う持続可能な小さな暮らしをベースに、天与の才を世のために活かし、社会的使命を実践し、発信し、全うしていく生き方。そんな社会になるのではないでしょうか。時代性や問題意識を個々人が認識し、“使命多様性の日本”が世界に先駆けて、スタンダード化すれば良いですね」。

塩見さんは、これからの生き方に新たな「半農半X」という選択肢を提示した。
半農半Xという「スローレボリューション」は始まったばかり。「私のライフワークは、市町村から個人までのミッションサポートとコンセプトメイクです。農の世界にもコンセプターが必要だと実感しています。僕は21世紀ビジョンを提示し得る“半農半シンボリックアナリスト”を目指したいと思っています!」。綾部という小さなまちから日本全国へ思いを届ける眼差しは強く、これからの社会を担う大切な視点と価値観を垣間見ることができた。皆さんも「半農半X」始めてみませんか?
(取材日・2006年1月20日)

LINK

塩見直紀ホームページ http://mavi-ch.com/xseed/

里山ねっと・あやべ http://www.satoyama.gr.jp



塩見直紀(しおみなおき)さん
1965年、京都府綾部市生まれ。大学入学の年から99年まで、伊勢、大阪、京都で暮らす。
10年間、株式会社フェリシモの非営利部門(教育、企業財団・研究所)に在籍。「生き方と環境問題」をテーマとする。1999年、約15年ぶりにUターンで帰綾。2000年、半農半X研究所を始める。2002年7月、農文協『青年帰農』(現代農業増刊号)で「半農半Xライフのススメ」を寄稿。2003年1月、日経新聞で半農半Xが紹介されたことがきっかけで、同年7月,ソニーマガジンズより『半農半Xという生き方』を上梓。2006年1月20日、同社より、『半農半Xという生き方 実践編』を上梓。創森社から3冊目の本を出版すべく、ただいま執筆中。台湾において、『半農半Xという生き方』が06年末、翻訳出版される予定。










『半農半Xという生き方 実践編』
塩見 直紀 (著)

プレゼントは3月末で締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。



『半農半Xという生き方』
塩見 直紀 (著)



 top >>> eco-People  >>>塩見直紀さん

(C) Ecology Online / All right Reserved.