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eco people file no.17

ぼくらのまち、ぼくらの未来への投資    コミュニティ・ユース・バンクmomo代表理事の木村真樹さんにお話を伺ってきました。

最近いろいろなところで目にする言葉、エコ就職。自分にとっても社会にとっても大切なものを、働くことで守っていきたい。そんな想いの若者たちに向けたシンポジウムで話をする機会が多いという木村さんは、「どこで働くかではなくて、どう働くかが大切だということを必ず言うんです」と、忘れがちな本質をチクンとつつく。
実は、木村さんがこの言葉にこだわるのにはちょっとしたワケがある。彼こそまさに、エコ就職の人だからだ。

大学卒業後、生まれ育った地元名古屋の銀行に勤めた木村さん。「もともとは新聞記者になって文章を書くことで社会問題を追いかけたかったんですが、銀行で地域貢献をするのもいいかなと思ったんです。でも、やっぱり何かが違うと感じていました」と、1年半で退行。そして、最初の志どおり記者を目指そうとした矢先、NGOという存在を知ったのだという。
「記者は一人で社会にアナウンスしますけど、NPOやNGOはまったく逆。一人ひとりの力は小さくても、それが重なり合うことでより大きな成果を出していくというアナウンスの仕方がおもしろいと思ったんです。それに、そういう働き方のほうが自分に合っている気がしました」と言う木村さんが門をたたいたのは、国際青年環境NGO A SEED JAPANだった。

新宿のにぎやかさから少し入ったところに静かに居を構えるA SEED JAPANは、学生を中心とした若者が主体となって活動をしている環境NGO。そこで木村さんは、事務局長として、プロジェクト管理、理事会のコーディネート、資金調達などを担ってきた。
「全体を見渡してコーディネーションできる事務局長という仕事は、僕自身望んでいたものでもありました。将来、地元名古屋で地域貢献できる仕事をするノウハウを学ぶにはうってつけでしたね」と、木村さん。
A SEED JAPANは、環境問題やその中にある社会的不公正を根本的に解決していこうという活動理念のほかに、そういったことに貢献できる人材の育成と輩出という目的も併せ持っているのだそうだ。
種を育てるように人を育てていくことで、より良い社会を創っていく……時間がかかるようでいて、あんがい近道なのかもしれない。

木村さんは、事務局の仕事のほか、かずかずのプロジェクトも主導してきた。その中のひとつ、エコ貯金プロジェクトに携わったことは、いまの木村さんを形作る意味においても影響は大きい。
「エコ貯金プロジェクトを通して、僕は“お金の地産地消”と言っているんですけど、地域のお金を地域でまわすというNPOバンクの理念を知ったんです。それこそ、地域貢献のできる働き方をしたいという自分の想いが一番具現化されているものだと直感しました」。

当時、既存の形とは違うお金の流れを目指し、各地でぽつぽつと動き始めていたNPOバンク。銀行に勤めていたころでも気づくことのなかったお金の流れと、それがもたらす副次的な問題を、NPOバンクを通して知ってしまった木村さんは、愕然とし、同時に、先進国に生まれついたことの責任を強く感じたという。
地方を含めた日本国中から銀行が預かる膨大な私たちのお金は、社会的責任を果たしているかどうかということには関係なく、中央のより大きくより強い企業へと優先的に流れていく。また、銀行は国債も買う。そのお金で日本政府は世界中のどこよりもアメリカ国債を購入する。そうした融資や投資は、めぐりめぐって、私たちの知らない間に世界中のさまざまな国で人権侵害や環境破壊を引き起こしていくのだと木村さんは教えてくれた。
「環境問題や社会問題と本当に向き合うなら、いまの経済の仕組みや社会構造そのものを変えていくしかない」と木村さんは言葉を強くする。市民がお金を、使う場面、稼ぐ場面、貯金する場面をエコロジーにしていくことで、まずお金の流れが変わる。そうすれば、経済全体がエコロジーなって、社会の仕組みそのものも変わっていくという考えだ。

木村さんは、2005年10月、東海地方では初めてのNPOバンクを設立し、新たなスタートを切った。大手金融機関からの融資はなかなか受けられないけれども、社会貢献を軸に一所懸命事業展開しているような地元の個人や団体へ融資して、持続可能で豊かな地域づくりを目指す。

バンクの名前はmomo。なんともかわいらしいその名は、『ネバーエンディングストーリー』で知られる児童文学作家ミヒャエル=エンデの童話『モモ』からとったという。
「モモは、時間どろぼうに盗まれた豊かな時間を人間にとりかえしてくれた女の子の物語。作者のエンデも、今の忙しい世の中は経済システムに問題があると思っていて、時間と戦う女の子を表現することで、人間として本来もっている感受性や想像力を取り戻そう、という想いを込めてつくった童話だと言われているんです」。
『モモ』のお話は、たくさんの情報が飛び交って、どんなものでも手に入る便利で自由なはずの現代社会で、本当に大切なものを見つけていく、そんな力を自分たちの手で取り戻そうとするmomoの活動そのものなのだ。

「ちょっと言い方がキザなんですけど……momoで“自分たちの未来”に投資してほしいんです」と照れながら話す木村さん。
種はいま、小さな芽を出したばかり。大地にしっかりと根を張って、大空に向かってぐんぐん葉を広げていく姿を想像してみた。かわいらしいmomoが、力強い大木に育つその日がいまから楽しみだ。



LINK

コミュニティ・ユース・バンクmomo http://www.momobank.net/index.html

A SEED JAPAN
http://www.aseed.org/



木村 真樹(きむら まさき)さん

1977年名古屋市生まれ。大学卒業後、銀行勤務を経て、2003年4月よりA SEED JAPAN事務局長に就任。2005年10月に東海地方初のNPOバンク「コミュニティ・ユース・バンクmomo(モモ)」を設立、代表理事に就任。活動テーマは非営利マネジメント、SRI、CSRなど。









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