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eco people file no.24

住むこと。その先に見えるもの。
チュラマナ/上原まきさん・宮良牧子さんにお話を伺ってきました。

ちょっと前から、出掛ける時には今までより15分早く家を出ることにしたそうだ。
グループのメンバー・ゲレン大嶋さんのことである。それが、「うっかり道端で近所のお爺ちゃんに会って話し込んでしまっても遅刻しないため」というのだからオドロキだ。

ハワイと沖縄が共鳴する時…

チュラマナのメンバーが初めてスタジオで音合わせをした時、4人の中にはすでに確信が生まれていた。ハワイと沖縄…遠く離れたこの土地に生まれた音楽が、するりと同じ五線譜の上で溶け合えることを。事実、彼らのファーストアルバム「ふたつの楽園」を聞くと、まるで初めからこんなサウンドがあったかのように、スピーカーから柔らかくてやさしい風が吹いてくる。
それは、「実験」ではない。それぞれの音楽を愛し続けてきたら自然に辿り着いた「結果」のようだ。東京出身で18歳からフラを踊り始め、数々のコンテストで優勝、DVDもリリースしている上原さんは、初めて音合わせをした時に「ようやく出口が見つかった」と感じたそうだ。「フラは一種の手話ダンスのようなもので、動きのひとつひとつが言葉を表現しています。だからハワイの言葉を理解することが必要で、踊っている時、頭の中はハワイ語がフル回転していました」。踊りの表現力を高めようとすればするほど、最終的には埋めきれない言葉のギャップを感じていた時、宮良さんの歌う「てぃんさぐぬ花」で踊る機会に恵まれ、母国語の歌でフラを踊ることの心地良さに出会ってしまった。「日本を知らずに、どうしてハワイに行っているんだろうって思ったことがあったんです。ハワイの花にいつも囲まれて暮らしている訳じゃないし、自分が好きな花を見る時の目で踊って、自分の身近な感動を表現すればいいんじゃないかなって。だから東京にいても極力空を見上げて、満月が出てたら絶対眺めたりしています。星空も、風も、雨も感じて、五感を鋭くして生きていると、それが直接フラに繋がってくるんです」。

フラとの出会いからハワイの光を浴びて来た上原さん。一方、石垣島で生まれた時から、この土地に下ろした根っこで音楽を吸い上げて来た宮良さんには、穏やかに葉を広げる樹のような佇まいがある。

Live : Churamana
9歳から発声法を学んで培った歌声は、ほんの1小節で私達を楽園に運んで行ってくれる風のようだ。「歌っている時は、横で踊るまきちゃんのフラを肌で感じながら、それと同時に島での風景を感じています。自分自身の歌が、チュラマナ以前と変わったとは思っていないけれど、お客さんの前で歌っていると、この2つが一致したものとして伝わっていることを実感します」。
長い歴史の中で奏でられてきた音楽や踊りの多くは、その土地の自然を想う心であったり、その中での暮らし、そこで生きる人々の歓びや哀しみを表現するものだ。宮良さんは、自分達から生み出される音楽を「使い捨てにはしたくない」と言う。「そこには、島の人達が敬っている物がたくさんあるんです。祖先とか、自然とか…」。
2人に“継承者”というほど仰々しい意識はない。しかし、ともに向けられているまなざしは、この日本が育んできたものに対してのものだ。日本語を感じながらフラを舞う上原さんと、石垣島の風景を感じながら歌う宮良さん。そして、彼女達を彩るゲレン大嶋さんと山内雄喜さんの演奏…それがチュラマナの音楽だ。

歌に織り込まれてきた自然、暮らし。

そもそも「ハワイ」も「沖縄」も日本人がとても好きな楽園だ。だから、この2つの音楽が日本で混ざり合うことは、最も自然な出来事なのかも知れない。
私達が心惹かれるハワイや沖縄には、長い年月をかけて育まれた芳醇な土地の香りがある。無味無臭の楽園なんて、ちょっと違う気がする。だから、ハワイや沖縄から生まれた音楽を聞くと安らかな気持ちになれるのだろう。そして、そうした曲を聞いたり、口ずさんだりした時、そこに歌われている海や空、花や太陽の存在をより強く感じることが出来る。では、多くの日本人は、そんな楽園まで行かないと自然への想いを取り返すことはできないのだろうか。そんなことはない。インタビュー中の上原さんから何曲かの歌が飛び出して来た。「夕焼〜け小焼け〜の赤と〜ん〜ぼ〜♪」「あめあめふれふれ母〜さんが〜♪」 …夕焼けを見た時、雨が降った時にこんな歌を口にしてみる。その瞬間、私達の心の中に微かに蘇ってくる感覚は何だろう?
日本全国にはそんな歌がたくさんある。インタビュー後の雑談で、同席していたゲレン大嶋さんが言った。「そういう歌を、資料館に大切に保存して年に一回のお祭りの時だけ引き出しから出してくる…みたいなのは、ちょっともったいないですよね」。私達も、歌ったら何かに気づくかもしれない。ひょっとしたら、歌うことで始まるエコロジーもあるかもしれない。

ハワイでも沖縄でも、音楽は生活と切り離せない。「昔、友達とバーベキューをやることになったんです。テントが用意されて、その他のバーベキュー用品やら道具やらが徐々に集まって…すると、いつの間にかそこに三線が置かれて、泡盛が置かれて…。それが普通なんです。結婚式も、最後は必ずみんなで踊って終わるし…」と宮良さん。暮らしの中でどれだけ歌を歌っているだろうか…胸に手を当てて考えてみた。
「ハワイと沖縄の相性の良さって、どちらもずっと電車がなかったことなんじゃないかと思うんです」と上原さん。「ハワイアン・タイムとオキナワ・タイムって、リズムが一緒っていうか。どちらも待ち合わせ時間に家を出る…みたいな(笑)。そんな生活から生まれた音楽だから、合わせるとピッタリはまるのかな」。
なるほど。そう言われて彼らのCD「ふたつの楽園」をもう一度聞いてみると、曲の中で2つの音楽は、全然無理をして生きていない。
もしかして、チュラマナを聞きながら15分早く家を出るようにしたら、私達は、約束の時間までの間、待ち合わせの場所で歌を歌って待っているようなヤツになれるのかもしれない。

LINK

チュラマナ  http://www.jvcmusic.co.jp/churamana/

(取材:宮崎 伸勝)


プロフィール:チュラマナ/上原まきさん・宮良牧子さん

ハワイと沖縄、それぞれの音楽を背景に持つ2人の女性シンガー、上原まき(ボーカル、フラ)と宮良牧子(ボーカル)をフロントに、スラックキーギターの第一人者・山内雄喜、元TINGARAの三線プレイヤー・ゲレン大嶋によるユニット。2つの楽園が育み続けてきた音楽を紡ぎ上げるパラダイス・サウンドを追求している。ビクターエンタテインメントより、6月21日にアルバム「ふたつの楽園」でデビュー。

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Churamana ふたつの楽園


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上原まきさん
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宮良牧子さん
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