環境に配慮した持続可能な社会を目指して、認証制度でその仕組みづくりに取り組む山口真奈美さん。認証制度のもつ役割や想いを伺いました。
認証制度はエコ・シフトへの道しるべ
「取材とか写真って緊張しますよね」
かわいらしい声でゆっくりと話し始める。しかしその様子とはうらはらに、並んだ肩書きは壮観だ。NPO国産材(http://kokusanzai.jp/)理事、有限責任事業組合ビジネス推進機構理事長、NPO法人エコ・エコノミー協会理事、そしてFEM(http://www.f-em.jp/)代表取締役。
地球温暖化で環境意識が高まるなか、注目を集める認証制度。山口さんが代表取締役を務めるFEMでは、FSC認証、textile認証といったグローバルな認証の審査・監査事業の日本支部を担う。
問い合わせも増えている。消費者からの「本当に環境や現地のためになっているのか?」というものも多く、そうした部分を第三者的に審査し証明する認証制度の重要性を日々感じているという。
「環境問題というと大きくて取り組むのは大変ですが、消費者が商品を選択するというアクションはとても簡単です。どちらにしようかな、というだけですから。でもその背景には非常に大きな意義があると思っています。何気なく選んだものが実はエコというのが理想的なので、認証制度は、そうした仕組みをつくるための企業の選択肢のひとつになりうると思っています」
いなかでの自然体験が原動力
環境問題に興味をもったのは小学生のころ。きかっけはTVで見た森林破壊の番組だった。
「熱帯雨林の破壊で動植物が絶滅に追いやられている様子を見て、悲しく思ったことを覚えています。人間の手によって破壊されているのなら、人間がそれをなんとかしなければと思って、環境や森林保全の仕事をしようと…」
想いを強固なものにしたのは、祖父母のもとでの自然体験だった。父が宮城県、母は沖縄県という山あり海ありのふるさとに、休みのたびに家族で帰省した。
「祖父と、山菜やキノコ狩りをしたり、魚釣り、畑仕事を手伝ったりして過ごしました。山というと、遠足などで行く整備されている場所をイメージしますが、祖父に連れられて入った山は道がないところをかき分けて行くわけです。山に入るというのはこういうことなんだと思いました」
自然の険しさも目の当たりにした。
「崖から落ちそうになったことがあって。楽しいだけじゃなくて危険も多いのが自然の世界なんだと感じました。そのときは、たまたま近くのツルが体に絡まって落ちずにすんだんですけど。“自然に守られた!やっぱり大切にしなきゃ”って。単純ですよね」と少女のように笑う。
3つの大学の大学院にも通った。「環境保全は経済活動も含めてトータルで考えなければ変わらない」と、農学、経済学、環境科学を履修。在学中、環境にかかわるNPOや財団、研究所でアルバイトをした経験が、そのまま今の仕事へと結びついている。
日本企業の今後に期待 世界に発信を
認証の取得は容易ではない。いくつもの段階の厳しい審査を経てはじめて、取得に至る。しかし山口さんは、「取得はあくまでも手段のひとつで目的ではない」と強調する。
「企業のアクションが社会や自然環境に与える影響は想像以上に大きいんですね。だからこそ、認証取得後の企業のあり方こそが大切です。企業は、CSRや環境対策だけでなく商品レベルでももっと取り組んでいくべきだと思っています」
従業員も会社の外に出れば一消費者だ。彼らが、自社の認証取得によって意識を環境に向けるだけでも大きな社会的インパクトになる。
山口さんが、認証の審査・監査業務以上に、取得後のアフターフォローにチカラを入れる理由はここにある。ロゴの使い方、商品や企業経営への活かし方に加え、従業員教育も積極的に行っていく。
「研修や講演会などでは、写真を用いたりしながら一般の方や企業の方にわかりやすくお伝えしています。環境や森林の保全をしたいと思っている方は多いのに、きちんと情報が伝わっていないと感じるんですね。求められる情報をわかりやすい形で提供していくことは、私のもう一つの役割だと思っています」
そう言って、自身を「橋渡し役」と表現する山口さん。近年やっと、環境と経済という両極の距離が縮まり、橋渡しもしやすくなったと実感する。
「これからは、日本も積極的に環境保全について発信していくべきですね。技術や人材など、日本はいいものを持っているのに、そうした状況があまり伝わっていません。さらに日本の文化や思想も含め、もっと世界にPRしていけたら素敵ですね。」
次は、日本と世界を結ぶ橋渡し役へ。その大きな瞳に期待がかかる。
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