世界中を震撼させた福島原発事故だが、オーストラリアの北部特別地域に住む原住民族ミラー族が受けた衝撃も例外ではなかった。契約にサインすれば巨額の富を約束されているにも関わらず、彼らの土地で行われるウラン鉱石採掘を制限する意志を固めている。
先祖代々ミラー族が所有してきた土地からは30年以上もウランが採掘され続け、世界中に輸出されている。福島原発を運営する東京電力も主要な鉱山である「レンジャー」の長年にわたる顧客だ。
ミラー族の長老であるYvonne Margarulaは、パン・ギムン国連事務総長に、ミラー族の人々が日本の惨状を心配し原子力の緊急事態について懸念している旨を手紙に書いて送った。
「日本の原子力会社とオーストラリアのウラン鉱山会社との長年にわたる関係をみると、福島原発の放射能事故は、我々の土着の土地から採られたウランが、少なくとも原因の一部であるようだ。このことを我々は非情に悲しく思っている」とMargarula は言う。
また、長老Margarulaは事務総長に、2つ目の鉱山となる世界最大の未開発のウラン鉱床「ジャビルカ」での採掘反対をさらに強めていく決意と共に、ジャビルカ鉱床が世界遺産指定のカカドゥ国立公園の一部になることを希望すると伝えた。
ウラン採掘はこの地域で長年問題となっている。レンジャー鉱山は英国系の採掘会社大手Rio Tinto(リオティント)の子会社Energy Resources(ERA)が運営しているが、もともとミラー族の反対のなか操業を開始した。ジャビルカ鉱山もまたERAが賃貸権を有するが、ミラー族の呼び掛けにより何千人もの人々が8ヵ月におよぶ封鎖運動をした1998年以来放置されたままだ。
伝統的な土地の所有者達はレンジャー鉱山のロイヤリティとして2億オーストラリアドル以上を受け取っているが、長老Margarulaは2005年の議会での質問に対して、「アルコールに手を出すものが多くなり、お金に関しての口論も増え、鉱山が完全に彼らの生活を変えてしまった」と答えている。また、「水路や小川は永遠に失われ、有害な岩がうずたかく積まれ、有害なドロで埋まった巨大な穴ができ、彼らの土地は破壊されてしまった」とも述べた。
レンジャー鉱山とジャビルカ鉱床はカカドゥ国立公園の境界線にあるため、世界遺産登録の際に除外された。およそ70人いる土地所有者は契約すればオーストラリアでも有数の長者になることは確実だ。それにも関らず、彼らは、これらの土地が永遠に保護されることを願っていおり、2005年以来、開発に対して拒否権を行使している。
長老Margarulaがオーストラリアの日刊紙『The Age』に話した原住民族の伝説"Dreaming" storiesによると、その土地が荒らされた時、“Djang”という“致命的な力”が解き放たれるという。彼女の亡父Toby Gangaleは、レンジャー鉱山が操業を開始した1970年代にオーストラリア政府に対し、Djangが世界中を皆殺しにしかねない、と警告したという。しかし、当時は誰も耳を貸さなかったという。
ミラー族が巨額の富を得ようとしないことは信じ難いが、昨年には、ウラン鉱山の土地の伝統的所有者であるJeffrey Leeが、土地を国立公園に寄付している。
翻訳サポート:中野よしえ
文:温野まき
aaa (月曜日, 11 7月 2011 09:21)
thank you
としBB (木曜日, 01 9月 2011 20:11)
アボリジニの素晴らしい方々 きっと きっと 神様が 守って くださいます・・・ 死の灰は きっと 世界を(人類を) 滅びへと 導いていきます・・・日本の子供たちは これから 長い間 命を 脅かされながら 生きていくことでしょう・・・
庭 (火曜日, 17 1月 2012 20:33)
2000年に、卒論でこの問題をかきました。東電、関電がウランをオーストラリアからかっていると。当時、Yvonneさんが京都のシンポジウムに来てこのことを訴えていたことを思いだします。ウランというおそろしい資源、アボリジニーの方たちは掘り起こさないほうがいい、そのままにしておくべきだと知っていたのですね。