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新緑の雑木林探検
いよいよ夏休み。遠くに旅行するのもいいけれど、近くの野山にも意外な発見があったりします。たとえば、ふだん何気なく見ている雑木林。お弁当を持って静かな木々の世界を探検してみませんか。
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雑木林ってどんな林?
昔から、身近にあって、まきや炭の材料などいろいろなかたちで人々の生活に役立ってきた林、それが雑木林。ここでは、季節によっていろいろな生き物の世界が見られ、何百種類もの木や草、昆虫などに出会えます。ゆっくりとあたりを見まわしながら、地面に生えている草花や葉っぱの裏にいる虫たちを観察してみましょう。
どんな木が生えているの?
ひとくちに雑木林といっても、そこに生えている木はおよそ100種類。その中でも代表的なものは、クヌギやコナラ、エゴノキなどです。ただ、南北に長い日本では、地域によって少しずつ木の種類が異なり、西日本ではアカマツやカシなども生えています。
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フィールドノートをつけよう
雑木林を探検する時は、ノートと鉛筆を忘れずに(カメラもあればベスト)。日付や天気、気温、観察場所を書き、どんな木や草が生えていたか、どんな虫をどこで見つけたかなどをイラストや写真と一緒に記録しておきましょう。もし、その場で名前が分からない植物や虫がいても、このフィールドノートがあれば、後から図鑑で調べやすいですね。
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緑のシャワーをあびよう
森の中で空気を胸いっぱいに吸い込むと、何とも気持ちがいいですね。そのわけは、木の持つ特有の香り。これは、木々が微生物や病原菌から身を守るために出しているガス「フィトンチッド」で、人間の皮フを刺激したり、気分を落ち着かせたりする働きを持っています。森林浴で、心も体もリフレッシュしましょう。
雑木林と人間の深い関係
昔の人は、雑木林の木を切って燃料に使ったりしました。切られた切り株からは、また新しい幹が出てきて15~20年で大きくなるというサイクルが、豊かな林を作ってきたのです。でも、最近では、たき木や炭も利用されなくなり、手入れされない雑木林も増えています。そうした林は枝葉が密集して日の光がささなくなり、生き物の大切なすみかとしての価値が失われてしまうのです。
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暗い林はどうなるの?
人の手で植えられたスギやヒノキの林は、間伐(かんばつ)などの手入れがなされないと、細い木だらけの暗く荒れた林になってしまいます。日がささないので、他の木や草も生えず、動物もほとんど見当たりません。こうした林では、余分な木や枝を切って日の光を入れ、広葉樹や下草が育つように面倒をみてやる必要があります。こうして長い年月をかけて手入れすることで、いろいろな種類の動物や植物が生きられるだけでなく、地面の中に水をたくわえる力も大きくなるのです。
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消えゆく雑木林を守ろう
有名なアニメ映画『となりのトトロ』の舞台となったのは、東京都と埼玉県にまたがる広い雑木林。20~30年前までは、大都会の近くにもこんな雑木林がたくさんありました。でも、住宅地などの開発のために、雑木林はどんどん消えつつあります。この「トトロの森」をはじめ、各地の雑木林を守ろうといろいろな活動が行われています。そんな活動を応援するのも、新しい発見につながるかもしれませんね。
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