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魚のふしぎ大発見!
暑い夏。水の中をスイスイと気持ち良さそうに泳ぐ魚がちょっぴりうらやましいですね。地球の表面の4分の3は水の世界。そのせいか、水中に住む魚は、背骨を持つせきつい動物の中で一番種類が多いのです。種類が多いということは、それだけさまざまな生き方やくらしぶりがあるということ。今回は、魚の世界をのぞいてみましょう。
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海と川では、魚の体はどう違う?
海に住む「海水魚」と川や湖に住む「淡水魚」。一体、どこが違うのでしょうか。塩分の多い海水にくらす魚は、水分が体の外へ出やすいため、たくさんの海水を飲んで水分を取り、いらない塩分を少量のおしっこと一緒に外へ出します。反対に、真水でくらす淡水魚は、体に水分が入りやすいので、ほとんど水を飲むことなく塩分のうすいおしっこをたくさん出します。同じように見える魚でもずいぶんしくみが違うのですね。
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うろこでわかる魚の年令
多くの魚が持っているきらきら光るうろこ。体内へ水がしみこむのを防いで体液の濃度を保ったり、ばい菌などが入ってくるのを防いだり、敵から体を守るよろいのような役目を果たしたりしています。うろこには、木の年輪のような成長線と呼ばれる輪ができ、魚が最も成長する春から夏には、この線と線の間かくが広くなり、反対に秋から冬は、狭くなったり乱れたりします。だから、この年輪もようで、魚のだいたいの年令を知ることができるというわけです。
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水の中でも、においを感じる
多くの魚は、左右2個ずつ計4個の鼻の穴を持っています。でも、魚は、水中でえらを使って呼吸する動物。鼻の穴は何のためにあるのでしょう。実は、魚は泳ぎながら、前にある鼻の穴から水を入れて後ろの穴から出し、その間に、水の中のにおいを感じ取るというわけ。たとえば、サメはにおいをかぎわけてエサを見つけ、サケは生まれた川のにおいを覚えているといわれます。水中で生きていくには、鼻の良しあしも大切なんですね。
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熱帯魚の美しさは人の目を楽しませるため?
いいえ、そうではありません。色あざやかなサンゴ礁の中では、赤や黄色、青色、はん点やしまもようといったはでなコスチュームの方がかえって目立たず、敵の目をくらますことができるのです。逆に、熱帯以外の大部分の魚は色やもようが地味。また、水面近くを泳ぐ魚は背中の色が濃く、お腹の方が明るい。こうすると上からも下からも、魚の姿が見えにくくなるのです。敵から身を守る方法もいろいろですね。
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いつも旅する魚たち
多くの魚は、ち魚のえさとなるプランクトンが多い沿岸や浅い海へ移動してから産卵します。生まれてからは、季節によって変化する潮の流れに合わせて、えさの多い海を求めてどんどん移動。中には、マグロやカツオ、サケのように一生の間に何千キロも旅をする魚もいるほどです。このような魚の移動が「回遊(かいゆう)」と呼ばれるもの。魚は「海をさすらう旅人」なんていったらカッコ良すぎでしょうか。
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卵の多さにはわけがある
小さな魚は、大きな魚に食べられ、大きな魚はもっと大きな魚に食べられる、それが“海のおきて”というもの。でも、食べられてばかりなのに、小さな魚はなぜいなくならないのでしょう? それは、小さな魚は卵をたくさん生むから。たとえば、1匹のメスのマイワシは、一生の間に10万個もの卵を生みます。でも、卵からふ化して大人になる間にその99.9%が他の魚に食べられてしまうとか。それでも、0.1%の100匹が残ることができれば、子孫を残していけるというわけなのです。
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少数精鋭(せいえい)の子育て?!
たいていの魚は、マイワシのように卵を生みっぱなしなので、敵にねらわれやすく、その分、たくさんの卵を生まなければなりません。ということは、もし、親が卵を守ってあげれば、それほどたくさんの卵を生む必要はないということ。たとえば、ギンポは、メスが生んだ卵にオスが体を巻きつけて守ります。また、テンジクダイは、親が卵を口の中に入れて守り、ふ化した後もしばらくはち魚を口の中で育てます。まめな親のもとでは、子どもも安心して大きくなれるのですね。
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助け合いの精神は、海でも健在
たとえ種類が違っても、助け合ってくらしている魚たちがいます。たとえば、目のいいブリモドキは、あまり目のよくないサメなどの大きな魚を、エサになる魚群がいる所まで案内する「パイロットフィッシュ(水先案内人)」として有名。サメは案内してもらったお礼に、ブリモドキに食べ残しのえさを分けてあげます。また、ホンソメワケベラは、クエやハタなど大きな魚の口の中に入って、えさのかけらや寄生虫を食べます。クエやハタも、口の中のそうじをしてもらえるので大歓迎。こうして持ちつ持たれつの関係が保たれているのですね。
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