ノセる!巻き込む!盛り上げる!〜イベントで引き出す社会のヤル気

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アースデイ東京・事務局長 中島悠さんに

お話を伺いました。

 

取材・文:宮崎 伸勝 撮影:久保田 剛

中島 悠 (なかじま ゆう)さん

1980年神奈川県川崎市生まれ。 学生時代からイベント・プロデュースに取り組み、大学卒業後の2003年、国際会議などを運営するイベント会社に勤務。2005年からアースデイ東京に籍を置き、2006年事務局長就任。来場者 10万人、NPO/NGO・企業・団体など376グループが参画する市民参加型の環境イベントをプロデュース。 2006年には、日本イベント大賞の準大賞を受賞。

 

ノセる!巻き込む!盛り上げる!〜イベントで引き出す社会のヤル気

 とても失礼ではあるが、"プラス20歳"の人生を歩んでいるような気がする。早熟タイプである。そしてそのキラキラと輝く瞳に今たくさんの人々が動かされている。『未来はきっと変えられる』という想いを受け取って...。

 

 2006年からアースデイ東京・事務局長を務める中島さんは、自らを「ただのお祭り好き」だと言う。「高校時代は入学した時から学園祭の事しか考えてないような生徒でした。で、1日でも長くやりたいから、2日間だった学園祭を3日間にするための活動を1年生の時からやってました(笑)」 普通なら先生に頼み込む、要望書をどうにか作って提出する...それ位が頑張れる範囲だ。しかし中島さんの"お祭りへの情熱"は桁違いだった。「生徒の中には学園祭期間を休日にして学校に来ない人もいる。その参加率を上げなければならない。ゴミの問題もある。生徒側のマナーも改善しないと先生が認めてくれないのは当然。だから学校全体のムーブメントにしなければダメだと思ったんです」 

 

 そこからの中島さんの行動を一気に紹介しよう。まず学園祭通信を毎週発行。読まない生徒がいるのも当然なので署名活動や横断幕作成にも取り組み、「生徒がいつも学祭の事を考えてしまうような雰囲気(笑)」に。また学園祭の目玉の一つとして芸能人の誘致を目指す。その一方、期間延長によって減少する授業数の分散プランを全学年分(中高一貫校のため6学年)作成、3日間にすることの効果分析と併せて学校側に提示。生徒・教員によるミーティングを2週ごとに開催。PTAの講演プログラムも企画。生徒・先生・親の三者が盛り上がれる構図づくりにアイデアを出し続けた。さらに学園祭に向け学校全体で取り組むボランティア活動を立ち上げ、学園祭への意識向上と社会的意義を構築。具体的には、障害者の野球チームとの交流試合、地元のゴミ拾いなどに取り組んだほか、授業内で環境家計簿を作成し、あの京都会議に届けた。

「高校一年の時に24時間テレビのボランティアとして車椅子の方々のお世話をしました。その体験がヒントになったんですが、社会のために色々な人が参加できる仕組みを作るのが面白いって気づき始めたんです」 そんな学園祭運営の過程でゴミ問題の対応にも興味を持った中島さんが、ごみゼロナビゲーションなどで知られるNGO・A SEED JAPANを知るのも自然な流れだったのだろう。学校史に残るお祭り男は、FUJI ROCK FESTIVALやSUMMER SONICなど環境志向の高い音楽イベントを支える活動に進んでいった。

その中島さんが環境家計簿を京都会議に届けてから10年が過ぎた。アースデイ東京・事務局長として3年目を迎える。「世の中はどんどん進んでいて、いま出来なくても来年できるようになるものがたくさんある。だから少しでも出来る可能性が今ある事は追求した方がいい」との思いから、今年のアースデイ東京(4/19〜20 東京・代々木公園)には燃料電池を導入。去年までのバイオディーゼル、ソーラーパワーと併せた3大エネルギーによるイベントのグリーン化に挑む。企業協賛も58社にまで増えた。しかもただお金を出すだけでなく、出展・ツールの提案までを含めた協賛を依頼しているという。「10万人が参加するイベントをみんなで支えるという気持ちが根底に必要なんです。自発的な気持ちの集まりで運営されるイベントですから、ボランティアのスタッフは使う道具や仕入れる材料の一つひとつにまでこだわっています。これがいいお金の循環を生み出す訳で、そんな活動をバックアップして頂くことが企業の気持ちが伝わるPRに繋がります」

 中島さんの言葉を借りると、100万人に発信して1000人に振り向いて貰うのがCMの手法ならば、100人に呼びかけて90人に振り向いて貰うのがイベント。来場者にじかに伝わる出展者の想いの強さや温かさ、それをどんな仕組みで引き出すのか...学生時代からお祭りのために使ってきた頭脳がフル回転する。「国際的に連帯することがアースデイの意義だし、最大の強味だと思います。それを今年も継続し、来年も再来年も継続することを一番大切に考えています」

 前回のアースデイ東京は来場者12万人。日本最大の市民フェスティバルとなった。いかにたくさんの人を巻き込むか...10年前の学園祭男そのままに中島さんはエコロジーのフィールドで様々なイベントを仕掛けて行く。昨年は世界7大陸で同時開催された『LIVE EARTH』も手掛けた。「そもそも好きな事っていうのが社会活動なんです。で、そんな活動に参加していたら、結果的にお金がついてきた。自分はまず目的が先にないと生きて行けないタイプ。好きなことを社会問題に絡める、その事自体が仕事になる。それを目指すのが僕の人生のミッションだと思っています」

 

 まず社会ありき。その目線から仕事を組み上げていく。颯爽と社会の盛り上げ役を買って出る若きお祭り男に、熱い声援を送る人々が多いのも頷ける。

 

サイト

Earth Day Tokyo

URL: http://www.earthday-tokyo.org/

 

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