MDGs(エム・ディー・ジーズ)をご存知だろうか? 正式名称は「Millennium Development Goals」。日本語では「(国連)ミレニアム開発目標」という。「2015年までに世界の貧困を半減させること」などを目指す世界の約束だ。2000年9月の国連ミレニアム・サミットで採択された「国連ミレニアム宣言」に基づいて、これまでの国際開発目標を統合して作成された。貧困問題や教育、医療、環境など分野ごとの数値目標を定め、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げている。
途上国の貧困と世界の約束。どちらも一見、私たちの暮らしとは関係ないことのように思えるが、実はつながりが深い。食料、薬の原材料、木材、鉱物資源、エネルギーの多くを輸入に依存している日本人は、途上国からの恩恵なしに暮らすことはできない。さらには、世界のたった2割の人々が、世界の富の8割を使っているという不公平な社会の構造があり、MDGsの目標達成のためには、先進国の貢献が強く期待されている。
こうした状況のなか、国際協力NGOセンター(JANIC)は、多くの市民にMDGsの意義を知らせ、目標達成の機運を高めることを目的とした「世界の『貧しい』を半分に。MDGs2015キャンペーン」を開始。6月7日には、都内で記者会見と公開オープニング・イベントが行われた。
会見では、Twitterを活用したキャンペーンサイト「あなたのつぶやきが、世界を変える。」のデモンストレーションが行われ、UNDP(国連開発計画)親善大使である女優の紺野美沙子さんのメッセージが紹介された。同サイトでは、世界の諸問題についての想いや、世界中の人たちが笑顔で暮らせるためのアイデアを140文字以内で募集中だ。ここで投稿されたつぶやきは、今年9月にニューヨーク国連本部で開催される「国連MDGsレビュー・サミット」に届けられる。
今回のキャンペーンで特徴的なのが、電通、博報堂を中心とするクリエイティブ、コミュニケーションのプロフェッショナルたちが、その専門性を活かしたボランティア "プロボノ"という形で関わっていることだ。電通総研サステナビリティ研究部部長の白土真由美さんは「よりよい社会を実現するためには、(企業との)共同推進体としてNPO・NGOの力は欠かせない。ナレッジや技術を提供し、協働でビジネスをつくっていくことがCSRのトレンドとなるなかで、広告会社としてもできることがあると考えた」と参加の経緯を語ってくれた。
MDGsは私たち自身の問題である。残り5年という期限内の目標達成に向け、政府、企業、NGO、個人など多くの人たちの力が必要なのは言うまでもない。まず私たちにできることは、この問題について知り、広めること。それぞれの想いをTwitter上でつぶやいてみることから始めてみよう。
MDGsの8つのゴール
Goal 1: 極度の貧困と飢餓の撲滅
Goal 2: 普遍的初等教育の達成
Goal 3: ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
Goal 4: 乳幼児死亡率の削減
Goal 5: 妊産婦の健康の改善
Goal 6: HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
Goal 7: 環境の持続可能性の確保
Goal 8: 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
取材・文:加藤 聡
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