除草剤に抵抗力のある遺伝子組み換えキャノーラ(菜種)がアメリカ北部のノース・ダコタ州で見つかった。さらに、商業用に取り扱われていない組み合わせの遺伝子を持つ野性植物も見つかり、遺伝子組み換え植物が野生で繁殖していることが裏付けられた。将来的に何らかの影響が出ることが懸念される。
ペンシルバニア州のピッツバーグで行われた米生態学会で8月6日に発表された調査結果は、遺伝子組み換え植物が野生で自生していることを確認した初めての報告となった。アーカンソー州立大学のMeredith Schafer氏が偶然見つけた野生化したキャノーラから、組み換えられた遺伝子が見つかったという。
組み換えられた遺伝子は、商業的にもっとも良く使用される除草剤に対して抵抗力を持ち、キャノーラ畑で除草剤を使用した際、キャノーラ以外の草は枯れるが、キャノーラは成長を続ける。
Schafer氏らのチームは2シーズンにわたり、道路わきで見つかる野生化したキャノーラを5マイルごとに調査した。600箇所以上調査したうち、46%でキャノーラが見つかり、そのうち80%が遺伝子組み換え種だった。ノース・ダコタ州で使用されているもう一種の組み換え種は調査対象ではなかったため、実際の割合はさらに多いものと推測される。
現在、実地試験中の遺伝子組み換え植物は1100種にも及び、人体への影響は未知数だ。除草剤抵抗性種はとても単純な特性だが、医療用たんぱく質や耐乾性穀物など、開発中の植物の特性は複雑なものもあるという。今回の発見が人体へ与える影響はさほど無いとされるが、農家には大きな影響を与えかねないうえに、生態系への影響も懸念される。
文:温野 まき 翻訳サポート:中野 よしえ
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