欧州で発祥し、近年、日本でも注目され始めているカーシェアリング。だが、車両の設置場所が、利用者の自宅から不便な場所にあるなどの理由から、これまで普及が進んでいなかった。それが最近になり、コンビニエンスストアを拠点として活用するケースが増えてきており、普及に拍車がかかりそうだ。
コンビニ大手のサークルKサンクスと日本カーシェアリングは、コンビニ店舗を利用したカーシェアリングサービス「i-share(アイシェア)」を開始すると発表した。まずは1月21日から、東京都内のサンクス4店舗でサービスをスタートさせ、2010年中に、東京・神奈川・千葉・埼玉の約200店舗に広げる計画だ。その後、関西地区や中京地区をはじめ全国への拡大を検討していくという。
ここで、「カーシェアリング」という言葉を初めて聞いた人のために、少し解説。カーシェアリングは、1台のクルマを複数の人たちでシェア(共有)して利用する、車の利用形態。車両の維持費や固定費がかからないうえに、短い時間単位での利用ができるため、車にあまり乗らない人にとっては非常に経済的な仕組みだ。さらに、これまで各世帯で所有していた車の総数が減ることから、CO2削減の効果も期待されている。
アイシェアは、多くの人が利用するコンビニエンスストアを、カーシェアの拠点とすることにより、ユーザーの利便性を向上させた。これまでに、スリーエフ、ミニストップ、ローソンの6店舗で試験的に導入しているが、今回のような本格的な導入は初となる。
利用者は、アイシェアの会員となり、携帯電話やパソコンを使って予約する。コンビニの駐車場に行き、車両に会員カードをかざすだけで利用できる。料金は30分単位で、昼間(午前7時~午後9時)が800円、夜間(午後9時~午前7時)が500円。支払いは返却時に、コンビニのレジで行う。レンタカーのように、別途ガソリン代、保険料などを支払う必要はない。現在、車種には、燃費性能に優れる軽乗用車「ダイハツ ムーヴコンテ」を採用しているが、今後は環境負荷の削減のため、電気自動車の導入および充電スタンドの設置も検討するという。
先月には、ファミリーマートがオリックス自動車との提携を発表するなど、相次ぐコンビニ業界のカーシェア事業への参入。環境、利用客、コンビニの3つがWin-Win-Winとなる仕組みであることから、多くのコンビニがカーシェアステーション化するのも、時間の問題かもしれない。
文:加藤 聡
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