オーガニック革命は始まっている

オーガニックを使うことがそのまま新しいライフスタイル

 

 3月6日、日本オーガニックコットン流通機構理事長、宮崎道男さんの講演会が東京江東区の「えこっくる江東」で開催されました。オーガニックコットンを日本に紹介し、普及に努められてきた宮崎さんから、一度お話しをお聞きしたいと思っていたのですが、やっとその機会をいただくことができました。

 「オーガニックコットンから始める新ライフスタイル」と題したお話しは、オーガニックコットンの特性から普及に伴う諸問題までわかりやすくまとめた内容でした。オーガニックコットンを取り扱いながらも、その深い意味合いや目指すところ、普及の現況など、断片的な理解のまま来てしまったのですが、宮崎さんのお話しで今までの流れを系統的に知ることができました。

 また、オーガニックを知って、それを使い始めることがそのまま、暮らし方を変えることに繋がっているという、そこの必然性がよくわかりました。つまり、オーガニックを選ぶことが新しいライフスタイルそのものであることがよく理解できました。

また、オーガニックコットンの品質は信頼関係があってはじめて維持されるという条件がありますが、その信頼の関係こそオーガニック製品制作の必須条件であって、それなしにはオーガニックそのものが成り立たないことに確信を強めました。

 オーガニックコットンにおいては、耕作農民の生活を保障するためのフェアートレドが行われていますが、このことで信頼のおける生産が初めて成り立っていることを再確認することができました。

 これは大量生産や価格競争の経済分野では成り立つことのできない新しい取り組みです。その信頼関係を栽培から制作の工程につなげ、さらに販売者、購入者も交えて、互いに共生していこうというつながりを築いていくことが、すなわち新しいライフスタイルということになります。この新しいライフスタイルそのままが、人類が生存し続けていくための持続可能社会の暮らし方そのものであることに強く共感いたしました。

 

環境イベントの2つの方向性について

 

 このセミナーは東京江東区で1999年より活動を続けている「ふとんリサイクル推進協議会」の主催による「蘇るわたの文化」シリーズの第5回目の催しとして行われたものです。

 余談になりますが、ふとんリサイクル推進協議会の「物作り」形式の体験講座、「打ち直しワタで小座布団作り」はすでに60回を超える人気講座になって続けられています。またこれとは別に、セミナー形式講座「蘇るわたの文化」シリーズもこの会で5回目になりました。小座布団作りが「手作り」、「物作り」の楽しみを伝えることが主体にしているのに対して、蘇るわたの文化は新しい暮らし方を提起するための啓発を目的にしたものです。

 地球温暖化の進行する中で、全国各地の環境施設ではさまざまの啓発講座が行われていますが、どこでも物作りの体験型講座は人集めがやさしいのですが、啓発型セミナー講座では苦戦しています。この種講座ではわかりやすさと内容の深さが両立したものでなければ参加者に満足いただくことはできません。また、参加者のいわいるターゲットをどのレベルにおくか、つまり一般生活者とするか、より深いライフスタイルを目指す方々に置くかの絞り込みに常に悩まされているのが現況です。

 そのことは今回の企画段階でも悩まされたところです。一般消費者向け啓発活動として進めることと、オーガニックコットンの深い特性を伝えることとの方向性のバランスの問題です。

 結果的には参加者のレベルの高さによって充実した講座となりました。当日はかなり遠方からの受講者も多く、熱気のあるセミナー風景となりました。宮崎さんも参加者の熱心さに手応えを感じたようで、最近のオーガニックコットンに対する関心の高さを垣間見ることができました。

 

 「オーガニックコットン物語」

 

 そして4月1日、宮崎道男さんの著書「オーガニックコットン物語」が刊行されました。(出版:コモンズ、¥1600+税)

 日本のオーガニックコットン先駆者のひとりである宮崎さんだけに、そもそものコットンの素晴らしさから、農薬漬けのコットン農場の現状、 そしてオーガニックコットン製品の商品化までの様々な逸話、オーガニックコットン導入から今日までのご苦労が綴られています。

なぜオーガニックなのか?

その答えを宮崎さんはこの本のエピローグで、

~買物は未来を決める投票~

と述べています。

そしてオーガニックコットンを選択することは、これからの未来の暮らし方を選ぶ第一歩となることが語られています。

ライフスタイルの転換が叫ばれる中で、グリーンやロハスなど言葉のイメージが先行していますが、オーガニックの強いメッセージ性と妥協を許さない純粋性は、これからの新しいライフスタイルへの転換を即する契機となっていくことでしょう。

 

オーガーニック革命はもう始まっているのです。

 

PROFILE

親松 徳二(おやまつ とくじ)

1936年東京生まれ、親松寝具店3代目、1998年エコふとんショップに転換、自然素材寝具の制作、1999年同業者とふとんリサイクル推進協議会設立、布団リサイクルを発信

2000年インターネットショップecofutonオープン

2001年オーガニックコットンふとん、和綿「弓ヶ浜」布団など発売

2008年2月店舗閉店、現在ネットショップで営業中

 

http://www.ecofuton.com/

 

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