2009年も、ロラン島は元気です!

 みなさま、ごぶさたしております。

 日本は梅も咲いて、そろそろ春便り、といったところでしょうか。

デンマークでは、先々週までは雪が降り、氷点下10℃以下に下がることもあったりしてかなり寒かったのですが、今は暖かい日差しが降り注ぎ、まるでもう春がやって来たようです。我が家の庭にも、デンマークで春を告げる花、と言われている黄色いイランティスや白いヴィンタゲクという可憐な花が咲き始めました。

 

 ロラン島も、環境自治体としてますます忙しくなってきましたよ!

 

 まずは、2月27日、これまでの環境自治体としてのユニークで積極的な取り組みを評価され、ロラン市はシモン・スピース財団から、50万デンマーク・クローネの寄付を受けました!プレゼンターとして、気候エネルギー省のコニー・ヘデゴー大臣がロラン市にやってきたんですよ。これで、ロランが力を入れているプロジェクトの一つ、「藻イノベーション」への取り組みもますます加速しそうです。

「藻」といえば、これまで少しご紹介していた世界初の「風/海/藻 海上における藻の培養とバイオ燃料への活用を考える国際会議」は2009年4月22日〜24日まで、ロラン島で開催されることになっています。

 

 また、今月末の3月27日〜29日には、国際青年会議所ロラン支部主催で、「気候会議」がラランディアというリゾートセンターで開催されることになりました。

会議では、ロラン市の環境プロジェクトリーダーのレオ・クリステンセン氏が、ロラン島が環境自治体となるまでの歩みについて解説する他、ロラン島にも工場のある、風力発電機のトップメーカー、ヴェスタスの投資マネージャー、ピーター・ヴェンセル・クルース氏が、気候問題に関する同社のグローバルな取り組みについて、そして、トヨタ・デンマークの情報マネージャー、レネ・モウリットセン氏は、一企業として環境問題に対し、どうしたら一歩先を行くアクションをとれるのか、について語る予定になっています。また、日本語にも翻訳された著書「環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態」や「地球と一緒に頭も冷やせ!温暖化問題を問い直す」でも世界的に有名な政治学者、ビヨン・ロンボー氏(日本語ではビョルグ・ロンボルグと訳されているようですが、デンマーク語読みではビヨン・ロンボーです)も講演を行う予定になっており、彼がどんな話をするのか、期待が高まります。今回の会議では、国際青年会議所のメンバーによるワークショップもあり、将来を担う若きリーダー候補生達が、どのような議論を繰り広げるのか、今からとても楽しみです。

 

 今年は、デンマークのアナス・フォー・ラスムセン首相も年頭のスピーチで、世界的金融危機や気候・環境問題について言及していました。ちょっとご紹介すると、「この記録的な世界金融危機は、必要以上に悲観視すればさらなる危機、混乱、崩壊という負のサイクルにはまり込む可能性がある。その一方で、危機は新しい視点を与える機会とも成りうる。」そして、「グリーン成長を持って、危機から脱出する策としよう。だからといって、がまんを強いたり、禁止事項を増やしたりするのではなく、楽しみながら、やる気がみなぎるような方法で取り組む。それがダイナミックなグリーン成長である。風力、バイオ燃料、太陽エネルギー、その他の再生可能エネルギー。消費するエネルギーより、供給するエネルギーの方が多い、エネルギープラスハウス。高速列車と、最新式の鉄道システム。最新型で速い電気自動車。自然に配慮した道路の拡充、環境に配慮した農業、グリーンエネルギーの生産、安全な食、そして安定した輸出高をキープすること。」「失敗を恐れるより、成し遂げようとする気持ちが強ければ、全てはいい方向に向かう。」と、こんな内容でした。アメリカでオバマ大統領が掲げる「グリーン・ニューディール」のデンマーク版ともいうべき、力強い宣言です。このスピーチによって、デンマーク国民は、「私たちは、よりいっそうグリーンな国家づくりへの道を進むのだ」と意識を新たにしたようで、多くの企業やロラン市をはじめとした自治体で、これに呼応した動きが始まっています。

 

 日本にとっても、今年はアジアを代表する「グリーン国家」としてイニシアチブを取ろうという「改革の年」となるのでしょうか。この金融危機をバネに、ぜひそうなっていくことを期待したいですね!

 

 では、今日はこのへんで。次回は、藻のプロジェクトの続きをお話ししたいと思います。

PROFILE

ニールセン 北村 朋子(にーるせんきたむらともこ)

デンマーク・ロラン島在住のライター、ジャーナリスト、コーディネーター。再生可能エネルギーの利用などの環境や食など、地球と人にうれしいライフスタイル追求がライフワーク。森の幼稚園の運営委員、ロラン市地域活性化委員、デンマーク・インターナショナル・プレスセンター・メディア代表メンバー。

 

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