7月1日、東京電力、東北電力管内の大口需要家を対象に、昨年比15%の節電を義務づける電力使用制限がスタートしました。しかし、一口に15%の節電と言っても、何をどの程度減らせばいいのかわからないといった声を多く聞きます。その理由としては、電気の使い方が見えない、見えていないためではないでしょうか。そんななか、使用中の電力量が一目でわかる「デマンド監視装置」に注目が集まっています。気になるその実力とは? デマンド監視装置の導入実績でトップ誇る日本テクノ(株)で、カスタマーサービスセンター長を務める仲宗根宗幸さんにお話をうかがってきました。
――デマンド監視装置とはどのようなものなのでしょうか?
仲宗根さん まずは事業所の電気料金の仕組みについてご説明します。電気の基本料金は、1年を30分刻みにして、年間を通じて最も使用した30分間の電力量を基準に決まります。つまり、日頃から節電を心がけていても、1度でも電気を使いすぎた30分間があれば、向こう1年間はその最大値をもとにした基本料金になってしまうのです。この30分間の落とし穴を避け、最大需用電力(デマンド)を平均的に保つことが電気料金の基本料を上げないコツです。これを実現するために当社が開発したのが「SMARTMETER(スマートメーター) ERIA」です。ERIAには電力の使用状況を“表情”とアラームでわかりやすくお知らせする機能を備えています。
――つまりERIAモニターが電気を消すタイミングを教えてくれるというわけですね。
仲宗根さん その通りです。現在の電力使用状況を知ることで、ムダ使いを防止し、基本料金のムダを抑えようというのがERIAの狙いです。一方で、昨年度比15%の節電を行うためには、当然ながら、昨年の使用状況を知る必要があります。過去の使用状況については、WEB上の「デマンド閲覧サービス」で確認することができます。当社のカスタマーサービスセンターでは、お客さまと同じPC画面を見ながら現状の電気のムダな使用に関する分析を行い、今後の対策をご案内させていただいています。当然、電話サポートだけでは十分ではないので、地域の担当営業による直接のアドバイスも併せて実施しています。当社はこれまでに35,000件を超えるお客さまに節電コンサルを行ってきました。多くの導入事例を蓄積していることは、他社にはない強みといえるでしょう。
――本来はムダな電気料金を削減するために開発されたデマンド監視装置が、今夏は消費電力の削減やピークカットに大きく効果を発揮しそうです。
仲宗根さん 今夏の限られた電力供給量のなかで、最大需要電力を設定できるERIAが、15%の節電に有効であることは間違いないでしょう。他社の監視装置には、デマンド警報を受けると自動で空調機器を切ってくれる機能を持つ製品もありますが、ERIAは画面の変化や音で電気の使いすぎをお知らせすることしかできません。黙っていても勝手にエアコンが切れる仕組みは、確かに便利だと思います。しかし、これで省エネの意識が芽生えるかといえばそれは難しい。アラームが鳴ることで、社員はエアコンの温度を下げ、照明を消します。こうした行動は直接的に電気の節約につながることはもちろんのこと、それ以外の部分、具体的には紙の節約、ゴミの分別、節水などさまざまな気付きに広がっていきます。当社としては省エネをきっかけとして、全体の業務改善にまでつなげることを目指しており、実際、ERIAモニターを導入したことで、人件費の削減につながったというケースも増えてきています。
電気を見える化するだけでなく、自発的な行動にまでつなげるられるという意味では、デマンド監視装置の導入によって企業が得られるものは大きい。日本テクノではこうした省エネコンサルティングのほか、停電や漏電などを24時間365日体制で監視する電気保安管理サービスやテナントビル内の電力使用の管理を一括で請け負う「エコテナント」、電力小売事業など、電力についてのさまざまな課題を改善するサービスを展開しています。ちなみにスーパークールビズが話題のこの夏、全国の営業マンの服装は沖縄の「かりゆしウェア」で統一されるとのこと。見た目にも涼しげなワークスタイルは、節電サービスを手がける同社にピッタリかもしれませんね。
PROFILE
加藤聡(かとう さとし)
エコロジーオンライン編集長。埼玉県出身。大学卒業後、編集プロダクション、広告代理店勤務を経てフリーライターに。環境・サステナビリティをメインテーマに、雑誌からWEB、フリーペーパーまで幅広く執筆中。担当書籍に『地域力 渾身ニッポンローカルパワー(講談社)』。
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ubaTaeCJ (火曜日, 11 6月 2024 09:20)
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