再生可能エネルギー法案の国会通過のメドが立ち、日本も本格的な太陽経済へと一歩足を踏みだした。この法案でも、今後3年間を再生可能エネルギーの集中導入期間としているし、東北の復興においても再生可能エネルギーが大きな柱となることは間違いない。その中核となるのが太陽光発電だろう。
だが、屋根の上を地球のために有効活用する方法はそれだけではない。太陽熱を使って水を温める方法もあるし、屋上を緑化してヒートアイランドや断熱効果をもたらす方法もある。
そしてもう一つ、画期的な屋根の利用方法を考えた研究者がいる。それがデューク大学の助教授ニコ・ホルツ氏だ。彼が考案したのはハイブリッドソーラーシステム。ワシントンDCで開催された燃料電池に関する国際会議で最も評価された論文に選ばれている。
このシステムでは水とメタノールを太陽熱で温めてそこから水素をつくり出す。アルミニウムと酸化アルミニウムの薄い層で被覆され、触媒となるナノ粒子を部分的に満たした一連の銅管。そのなかに封入されたチューブを水とメタノールが通って流れる。200度以上に熱せられ発生した水素は燃料電池を通して発電に使われ、あまった水素はガスタンクに貯めて夜の電力供給に使われる。資料によれば化石燃料による発電と比較しても競合できるまでに発電コストを下げることも可能だという。
再生可能エネルギーに関する新技術の開発は日進月歩だ。新しい技術同士が競合し、一つの屋根を奪い合うようなことも起こるだろう。再生可能エネルギーによって生まれた電気を高く買い取ることでこうした動きを活性化させる。それが再生可能エネルギー法の大きな役割を一つだ。この法律を骨抜きにすることなく、活発な技術開発が行われれば、原子力という技術を過去のものにすることだってできる。私たちはいま、その出発点に立ったと言えるのだ。
<参照>
Hybrid solar system makes rooftop hydrogen
文・翻訳:編集部
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