「もったいない」という言葉を世界に広め、アフリカ人女性として初めてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが、71歳で亡くなった。
マータイさんはケニア出身。母国の森が伐採される様子を目の当たりにしたことをきっかけに、1977年に「グリーンベルト運動」を創設。30年以上の運動を通じて、アフリカ各地には4500万本もの木が植えられた。
環境破壊と貧困には密接な関係がある。貧しい家庭は生活のために農地を切り開くが、森林が伐採されれば、大地の保水力は低下し干上がる。結果、遠方まで水くみや薪拾いに行かなければならず、女性や子どもは学校に通うことができない。無学で育つということは、職につけず、貧困の輪から抜け出すことができない。
そこでマータイさんは、女性たちに苗を育てることを勧めた。苗を育てることで得られる収入は女性の自立を促し、植林は農村地帯の緑を徐々に回復している。
しかし、世界の環境や貧困の問題は依然として深刻な状況だ。できないことを心配するより、できることを考えよう―。決してあきらめることをしなかったマータイさんの意志を、私たちはしっかりと引き継いでいかなければならない。
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