風力発電の環境への影響はどのようなものなのか? これまで日本の風力発電所の建設では、周辺環境への影響を事前に調査し、予測・評価を行う「環境アセスメント(環境影響評価)」を義務付ける法律が存在しなかった。しかし近年、風車の大型化傾向もあってか、地域住民の苦情や環境への影響を懸念する声が数多く寄せられるようになっている。環境省はこうした状況を受け、平成24年10月より、風力発電所を環境影響評価法の対象事業に加えるよう一部法律を改正。4月9日には、先行的モデルとして環境アセスに取り組む事業者を支援する4件の風力発電計画の発表を行った。
発電施設を作る場合、立地場所の環境への配慮は重要だ。特に自然環境を利用した発電施設の場合、他のエネルギー以上に風の強さなど、自然的な条件の調査を必要とする。動植物や生態系、騒音・低周波といった環境への影響を調べることは、むしろ当然の流れであり、将来にわたって発電を続けるための前提条件となる。
一方で、こうした調査の義務化が、風力発電普及の足かせになるのではないかという意見もある。しかしながら、風力や地熱といった再生可能エネルギーは地域の重要な資源である。地域からの十分な理解を得られるだけの調査・検討を抜きに、再生可能エネルギーの普及拡大を語ることはできない。
文/田中一整
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