原子力発電のような危険性がなく、発電時に二酸化炭素をほとんど排出しないクリーンエネルギーの1つが地熱発電だ。地下から取り出した高温・高圧力な水蒸気で発電機を回して発電する。環太平洋火山帯に属し、地熱資源保有量が世界第3位の日本に最適な発電方法だ。しかし、発電に適した地熱資源を探すのが困難な割には、発電所の建設に費用がかかること、温泉への影響が心配されることなどから、あまり普及していない。
一方で、温泉のように低温・低圧力な水蒸気で発電できるバイナリー発電という地熱発電が実用化されている。36℃で沸騰するペンタンという物質などを地熱で沸騰させて水蒸気をつくり、発電機を回すものだ。平成18年に九州電力の八丁原発電所でイスラエル製のバイナリー発電機が運転を開始したほか、最近は国産の小型バイナリー発電機も登場している。
今年3月、神戸製鋼所はマイクロバイナリー発電システムを、大分県湯布院温泉の温泉旅館に設置することを発表した。70℃~95℃の温水を使用するもので、最大70kWの発電が可能だという。装置がコンパクトな上に、温泉の国・日本に適した発電方法でもあるので、普及を期待したい。
文/岩間敏彦
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