毎日の買い物のなかで私たちは、より安く、より良い商品をほしいと思いがちだ。しかしそうした「安くて良い商品」の裏側には、安い賃金での長時間労働や児童労働、環境破壊など、苦い現実が隠されていることが少なくない。こうした問題を解決するため生まれたのがフェアトレードという仕組みだ。途上国の女性や小規模農家が作る農作物や商品などを、公正な値段で買い取ることで、人々の仕事づくりと経済的自立を促すねらいがある。
コーヒーや紅茶、衣料品などフェアトレード商品にはさまざまあるが、今回紹介するのは、子どもから大人まで、みんな大好きなアイスクリーム。4月14日に東京・表参道ヒルズにオープンしたアメリカ生まれのプレミアムアイスクリーム「BEN&JERRY’S(ベン&ジェリーズ)」だ。
同社の創業は1978年。アメリカの北東部、緑豊かなバーモント州で誕生したアイスクリームは、現在、世界27ヵ国で販売され、世界中の人々から愛されている。BEN&JERRY’Sのアイスクリームの特徴が、ゴロゴロした大きめのチャンク(チョコレートやブラウニーなどの具)が入ったフレーバー。アイスクリームとチャンクの独特な味の組み合わせや食感のコンビネーションを楽しむことができる。
おいしさだけがBEN&JERRY’Sの魅力ではない。たとえば、「チョコレート ファッジ ブラウニー」というフレーバーに入っているブラウニーは、経済的困窮者の支援施設として設立されたニューヨークのグルメベーカリー「グレイストン・ベーカリー」から調達している。
また、アイスに使われるのは、平飼いニワトリの卵やホルモン剤や薬品を一切使用しない牛乳、フェアトレード認証のカカオやバニラ、バナナなど、環境保全や食の安全、公平な取引に取り組む人々や企業から仕入れた、こだわりの原材料ばかり。人気のフレーバーや上質な素材には、「少しずつでも世の中を良くすることを、楽しくやろう!」という同社の想いが込められているのだ。
ただおいしいだけでなく、ほんの少し、誰かの幸せにもつながるBEN&JERRY’Sのアイスクリーム。もしも食べる機会があれば、そんなことにも思いをはせながら、味わってみてほしい。
文/加藤 聡
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