~写真家からのひと言~
渡良瀬遊水地はご存知の通り、足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ、無害化することを目的に作らせたもので、歴史的な遺産であると同時に、野鳥をはじめ多様な生態系を維持している貴重な場所として2012年にラムサール条約にも登録されました。
思えば、田中正造没後100年目にあたる2013年のカレンダーができることに、縁の不思議さを感じずにはいられません。なぜならば私の父方の曾祖父が足尾銅山で働いていて事故で亡くなったこと。佐野に生まれ小学生の時に父親に連れていってもらって観た、田中正造の人生を描いた「襤褸の旗」(三国連太郎主演)が深く印象に残ったこと。写真学校を卒業して何気なく訪れた渡良瀬遊水地の風景に魅せられ長年カメラを向けつづけることになったこと。自分の中で足尾と田中正造と渡良瀬遊水地の点と点がひとつに繋がったからです。
私が住んでいる佐野からは車で15分位の距離にある渡良瀬遊水池。10月頃になって気温が下がると、渡良瀬遊水地の川沿いでは靄が立ちこめ幻想的な風景となります。広大な自然のキャンバスが描く風景は私の心をとらえて長年通う理由のひとつになりました。また多種の野鳥が生息しその命の営みを続け、朝一斉にV字編成で飛び立つ様子は、何度見ても感動しました。
今回の採用した写真の多く2011年9月~2012年2月に撮った写真ですが、それ以外に雪が降ったあとの景色や3.11以前にヨシ焼きをやってヨシの新芽が出た時の写真なども入れてあります。この渡良瀬遊水地カレンダーを通じて渡良瀬遊水地の魅力を感じていただけましたら幸いです。
小林伸司
1963年:栃木県佐野市生まれ / 1983年:千代田工科芸術専門学校卒業 / 1985年:神永写真館就職 / 1996年:個展「フィリピン・ドマゲッティの子どもたち」-館林ギャラリーU / 1998年:個展「天空からのメッセージ」-浅草・松屋 / 2007年:個展「渡良瀬遊水池からの手紙」-銀座・ギャラリーミハラヤ / 他
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