エコロジーオンラインを設立して12年が経ちました。自分らが手がけることは当時からあまり変わってはいませんが、とにかくまわりの環境が大きく変化しました。あってはならない福島第一原発の事故に続き、今年7月には再生可能エネルギーを本格的に普及させる固定価格買取制度も誕生しました。
隣の県に起きた東日本大震災と、放射能汚染への対応のため、被災地支援に重きをおいた活動をしてきたエコロジーオンラインですが、反原発、脱原発、節電、省エネ、エネルギーシフト等の気運の盛り上がりを受け、外部にいる仲間たちの多くが社会的に高い評価を得るようになりました。正直言うと、単行本を出す仲間の多いこと、多いこと。。。(笑)
そんなわけで僕らの仲間が関わった「反原発」「脱原発」「エネルギーシフト」「環境経済」に関する本のなかから、エコロジーオンラインの市民発電&電力事業などの現場活動に生かせる本をピックアップし、参考図書としてご紹介しようと思います。実際に販売いたししますのでよろしければご購入ください。その売り上げはこの秋から始まる「希望の虹色電力 ~みんなでつくろう!電力会社♪ ~」の事業に充当させていただきます。
エコロジーオンライン理事長 上岡 裕
デンマーク・ロラン島に住むジャーナリスト、ニールセン 北村朋子さんが紹介する、デンマークの自然エネルギー情報満載の一冊です。ともすると、技術論、経済論に走りがちな自然エネルギーの紹介を、女性らしくカラフルな写真をたくさん詰め込んで、ガイドブックさながらのクオリティで仕上げています。
ここまできめ細やかな情報を集めるのは、やはり、その地に住んでいないとできないこと。当然、この本に紹介される人々は、彼女が日々交流するロラン島に住んでいる普通のおじさま、おばさまたちです。(自分もロラン島の市長さんたちと夕食をともにしましたが、日本でも会えそうな田舎のおじさんたちでした。)
わずか7万人弱の地方都市が、自然エネルギーに活路を見出し、都市からのお金や人を巻き込んで成長していったストーリーは、被災地のたくましい復興に役立つと感じます。実際にロラン島を参考に宮城県東松島市が復興のビジョンを描いていますから、すでに被災地復興の参考書になっているとも言える一冊です。
*送料が500円かかりamazonより高くなりますが、この本の売り上げはすべて「希望の虹色電力 ~みんなでつくろう!電力会社~」のプロジェクトに充当させていただきます。
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村上敦さんとはドイツの環境ジャーナリスト、フランツ・アルト氏の「エコロジーだけが経済を救う」という本を翻訳出版した時からの仲間です。2003年3月に出した本ですが、当時はまだ「エコロジーだけが経済を救う」といってもリアリティが薄い時代でした。昨今のエコポイントや固定価格買取制度などの「エコロジー経済」でやっと一息ついている日本の企業の姿を見ていると隔世の感があります。
今回の本はそんな「エコロジーだけが経済を救う」に負けない衝撃作です。国も予想していることですが、このまま少子化の波が止まらなければ、地方の自治体は急激な人口減の荒波にうち勝てず、その多くが消滅していくだろうとする厳しい視点からスタートします。地域で暮らしている人たちが、今のまま気づかずにエネルギー大量消費の罠にはまっていると、どれだけ貧しくなってしまうかというシュミレーションは我が身に置きかえてもぞっとする話でした。
ただし、暗い話だけで、終わる本ではありません。日本と同様に成熟した社会を形成するEUの自治体の希望ともなっている「エネルギー自立」の方向性など、急激な少子化に対する唯一の処方箋とも言える道も描かれています。地球にふりそそぐ太陽のエネルギーから生まれる太陽光や風や水は僕らに請求書を送ることもありません。そしてそれを奪い合ってどこか遠い国で戦争が引き起こされることもありません。人間として真っ当な生き方とはいかなるものなのか。それを考えさせてくれる一冊でもあります。地域の将来を憂うる地方在住のみなさん、ぜひお手元に一冊どうぞ!
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いま全国で「シェーナウの想い」という映画の自主上映会が盛んに行われています。シェーナウという村の住民たちが原子力の電力から自由になるため、自分たちの電力会社をつくってしまおうぜ~!と立ち上がった姿を追いかけたドキュメンタリー映画です。どんなに小さな町でも「やる気さえあれば何とかなるぞ~!」と、とにかく元気をいただける映画なわけです。そして、そのシェーナウの人たちがつくった電力会社「EWS」が配布する冊子「原子力に反対する100個の十分な理由」を日本の状況に合わせて加筆修正したのがこの本です。
この本を書いた人たちも「やる気さえあれば本だって出せるぞ~!」と集まった人たちで原子力の専門家のみなさんではありません。読む側にとってもみても、原子力発電の問題点が100のテーマに分けられてコンパクトにまとまっていますから、とても読みやすい本になっています。翻訳に関わった曳地トシさん、曳地義治さんご夫妻(オーガニックガーデンの第一人者)などを中心に映画の上映会と講演会を行なっていますので、元気をもらいたいみなさんは、セットでのイベントを考えてみたらいかがでしょうか。
エコロジーオンラインでもシェーナウのみなさんに負けるな~!とばかりに、女性を中心にした電力会社づくりのプロジェクト「希望の虹色電力 ~みんなでつくろう!電力会社♪~」というプロジェクトがスタートしました。きっと彼女たちが参考にする本としても使われて行くことになることでしょう。
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「グリーンウォッシュ」という言葉がある。「エコ」や「グリーン」を売りにして企業や商品のブランドを環境にやさしいと偽ることを言う。「グリーンウォッシュ」ではなくとも、世の中にこれだけ「エコ」や「環境にやさしい」、「グリーン」などの言葉が氾濫すると誰もそれが「グリーン」なのか判断できないでいる。
その最たる例が住宅産業だ。テレビや新聞、雑誌の広告を見ていても、ほとんどのメーカーが自社の家を「エコ」というキーワード付きで販売する。そのすべてが本当に「エコ」なのかと問われると判断ができない。たとえば、太陽光発電を設置すれば「エコ」なのは当たり前だ。だが、家自体の省エネ性能はどうなっているのかと問いたくなる。せっせと電気をつくってもエネルギーがザルのように漏れる家では効率が悪い。省エネも、創エネもしっかりとこなしてもらわないと「エコ」ではないわけだ。
住宅の省エネ性能に関して日本には統一した基準がない。そのため、どのメーカーの家が省エネ的に「エコ」だか専門家にしかわからない。誰もがわかりやすい住宅の燃費基準があれば素人でもわかる。そんな思いで、日本に「エネルギーパス」というドイツ生まれの燃費基準を導入した男たちがいる。その「エネルギーパス」を活用し、低燃費な家をつくろうと立ち上がった地域工務店の取り組みを追いかけたのがこの本だというわけだ。
大量の宣伝予算をかけて売られるハウスメーカーの家も、彼らのような人と人の交流を通して地域に建てる家も、「エネルギーパス」という同じモノサシで測るとどちらが「エコ」かが一目瞭然だ。こうなって初めて長期的なランニングコストも把握できるはずだし、その上で太陽光発電のような創エネを導入すれば高いエネルギー性能を持った家が誕生する。脱原発を現実化するためには徹底的な省エネが必要だ。私たちの暮らしの根本からすべてを見直す必要がある。彼らのような地域の工務店からこうした活動が生まれてきたことはとても歓迎すべきだろう。ただし、まだ始まったばかりでよちよち歩きであることも否定できない。どんどん「エネルギーパス」の仲間を増やし、低燃費な住宅を全国に増やしていってもらいたいものだ。
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