真の文明をつくるために私たちができること。

真の文明ハ 山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さゞるべし

 

戦争に明けくれた明治の時代を駆け抜けた政治家に田中正造がいる。世の人々が富国強兵に浮かれていた頃、渡良瀬川流域に多くの被害を生みだした足尾鉱毒事件。国策によって虐げられる被害者のために奔走した彼がこんな言葉を遺している。

そんな正造を知る勝海舟が、百年の後に浄土もしくは地獄で田中正造を必ず総理大臣にすると、阿弥陀様や閻魔大王に約束したとされる証文も残されている。暴力によって物事を解決する時代にあって正造のような政治家の出番はまだまだ先の事だろうと思ったのかもしれない。


その正造が没して来年で百年となる。田中正造が理想とした、山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さない真の文明。そんな理想を掲げる政治家が立候補していたら、その候補者を総理大臣として迎える文明を僕らはつくって来ただろうか。


今回の総選挙は原発問題だけが争点ではない。そこに象徴される反自然的、非人間的な国のあり方を問うものだ。しっかりと候補者たちの目を見て欲しい。あなたが投票する政治家が百年前の世界に戻ろうとするものなのか、私たちとともに真の文明を切り拓こうとするものなのか。今からでも遅くはない。真の文明をともにつくろう!

 

エコロジーオンライン理事長 上岡 裕

*「坂本龍一から政治家のみなさんへ」に寄稿した文章を加筆修正しました。

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