ウナギが食べられなくなる日が来るかもしれない――。2月1日、環境省はニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定した。ニホンウナギは日本や朝鮮半島などに分布しており、かば焼きなど、昔から日本の食卓でも親しまれている。
ニホンウナギには、海で一生を過ごすものと川と海を行き来するもの、2つの個体があることが知られていたが、その詳しい生態は謎に包まれていた。ところが、2012年5月に開催された国際魚類学会で、海と川を行き来するニホンウナギが、産卵に大きな影響力を持つという研究成果が示されたことから、あらためて個体数に関する評価が行われることとなった。
評価にあたっては、河川における天然ウナギの漁獲量データが使用された。その結果、長い期間を通じて50%以上の個体数減少が推定され、今回の絶滅危惧種指定への決め手となった。個体数減少の理由としては、乱獲や生息環境の悪化、あるいは海水温の上昇による行動パターンの変化などが考えられている。
日本人の食文化にとってなじみ深いウナギ。もしもウナギがこのまま減り続ければ私たちの食卓からウナギが消えてしまうかもしれない。そうならないためにも漁獲面からの対策だけではなく、ウナギの生息環境を保全する環境面からの取り組みも、今後必要になってくるだろう。
文/田中一整
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