目指せ地域の小水力!足利工大自然エネルギー利用総合セミナーレポート

開会の挨拶をする牛山泉足利工業大学学長
開会の挨拶をする牛山泉足利工業大学学長

 1月22日、23日の両日、足利工業大学にて、自然エネルギー利用総合セミナーが開催され、地熱、太陽光、バイオマス、小水力発電など、各専門家からのプレゼンテーションが行われた。

 

 なかでも興味深かったのが、山根健司さんによる小水力発電の話だ。山根さんは建築士として山梨県を拠点に小水力発電所の設計に携わっている。水力発電の歴史や、各地の発電所の写真や図なども交え、現場からの具体的なお話を聞くことができた。

小水力への熱い思いを語る山根さん
小水力への熱い思いを語る山根さん

 小水力発電とは数十kWから数千kWの規模の水力発電の総称である。日本では明治維新の頃から水車を利用した水力発電が行われてきた。明治~大正期は盛んだったものの、昭和に入り、大規模な火力発電所が多数建設され、「火主水従」という火力発電優位の時代へと移行する。だが1973年のオイルショック以降は再び見直され、ここ数年は環境意識の高い地方自治体などが導入する例も増えている。

 

 そのひとつが山梨県都留市の家中川小水力市民発電所「元気くん1号」だ。市政50周年を記念して建設された、大きな水車を持つ発電所。その費用は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助金、都留市の財源の他、市民参加の公募債で賄われている。発電能力は20kW、発電した電力は市役所で利用し、余剰分を売電している。大きな下掛け式の水車は、地元の観光ポイントとしての役割も果たし、子どもたちへの環境教育にも一役買っている。

 

 昭和初期~1970年代までに小水力発電所が廃止されていったのは、採算性が合わないという理由だった。山根さんによれば、小水力発電の今後の課題は「経済性の向上」と「建設費の低コスト化」だという。

 

 山がちで、急流の小河川が多い日本。この日本ならではのクリーンな電気にさらなる期待をしたい。

 

取材・文 遠藤香織

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