あなたの好きな食べ物は何だろう? そして、その食べ物がどのように作られているか、考えたことはあるだろうか?
6月8日、食に関する2本の映画の全国公開が始まった。
一作は、阿部サダヲさん・菅野美穂さん主演の『奇跡のリンゴ』。絶対に不可能とされていたリンゴの無農薬栽培に挑み、11年もの歳月をかけて甘くておいしいリンゴづくりに成功した、木村秋則さんとその家族の物語だ。
リンゴは年に何度も農薬や肥料を施し、手間をかけなければ実らないとてもデリケートな果物とされている。農薬散布のたびに体調を崩す妻を気づかい無農薬栽培を決意した木村さんだったが、成功までの道のりは想像以上に険しく、映画では、その苦悩と木村さんを支える家族の想いが忠実に描き出されている。
もう一作は、遺伝子組み換えと原子力という20世紀が生みだした2つのテクノロジーが、食品や生物、社会に及ぼす影響を追った、ジャン=ポール・ジョー監督の『世界が食べられなくなる日』。フランスで極秘に行われた遺伝子組み換えの動物実験を記録し、驚愕の事実を私たちにつきつける同作は、欧州をはじめ世界中に大きな波紋をよんでいる話題作だ。監督はこの2つの技術について、「一度世の中に放り出されると後戻りができない、すでに世界中に拡散している、体内に蓄積されやすいという3つの点で共通している」と警告する一方で、私たちに何ができるのかを映画を通して語りかけている。
(ジャン=ポール・ジョー監督インタビュー記事はこちら)
奇しくも同じ日に公開された2つの映画は、扱う対象こそ違うものの、日々口にする食べ物がどうやって作られるのかを知る大切さ、選択するという消費行為の重要さを、映像でわかりやすく伝えてくれている。自分のカラダを形づくる食べ物について改めて考えるためにも、この夏、ぜひ観ておきたい映画たちだ。
映画『世界が食べられなくなる日』公式サイト
http://www.uplink.co.jp/sekatabe/
映画『奇跡のリンゴ』公式サイト
※画像は「世界が食べられなくなる日」から
(文 中島まゆみ)
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