世界文化遺産登録後、初めての夏山シーズンを迎えた富士山では、早くも多くの問題が起きている。
例えば徹夜で登る弾丸登山だ。高山病で診療所に駆け込む人が多いという。登山客の増加も心配だ。7月30日には、山開き後に山梨県側の6合目安全指導センター前を通過した人数が、過去最速で10万人を突破したという。
一方、7月25日から8月3日まで、入山料(富士山保全協力金)を集める実験が行われた。料金は1,000円で任意だが、富士宮、御殿場、須走、吉田の各ルートで10日間に集まった入山料が3400万円を超えた。この入山料は、環境保全や安全対策に使われる予定だ。
夏山シーズン以外の登山者対策も始まっている。環境省や静岡、山梨両県などで構成された「富士山における適正利用推進協議会」は、初めて「富士登山における安全確保のためのガイドライン」を策定した。万全な装備なしでの夏山期間以外の登山禁止や、登山計画書の提出、携帯トイレの持参などを呼びかけるもので、法的な拘束力はない。しかし、世界文化遺産登録後、過剰登山による環境破壊や、遭難者増加がますます心配されているため、重要な取り組みと言える。
文/岩間敏彦
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