秋は実りの時。とりわけ新米がおいしい季節だ。横浜市緑区の住宅街から徒歩10分ほどのところにある新治里山公園の一角に、昔ながらの風景を宿した田園がある。その田園に集い、伝統的な稲作を楽しむボランティア団体「にいはる谷戸田を守る会」が、秋晴れの16日、収穫祭を開催した。
育てた餅米で作るつきたて餅、豚汁、焼き芋などを振る舞ったほか、新米や野菜の販売、稲わらを使ったわら細工教室などを催し、地域住民を中心に300人を超える人手で賑わった。
収穫祭は、大地の恵みに感謝し祝う、日本各地で古くから行われてきた行事だ。里山の衰退にともない減少しているが、最近では「農」から遠くなりがちな都会に住む人の間で農業体験への人気が高まり、「マルシェ」などの名前で収穫祭が開かれる例も増えている。「にいはる谷戸田を守る会」のメンバーも農業経験のない人が多いが、土に触れ、自らの手で作物を育てる楽しみを味わうために活動しているという。この日の収穫祭は、作物のおいしさとともに、作り手の喜びが伝わる心温まる催しとなった。
丹精込めて育てた作物を味わう収穫祭。近くで似たような祭りを見つけたら、ぜひ参加して大地の恵みを堪能してみよう。
文/中島まゆみ
写真/寺田直史
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