3月22日から「気候変動に関する政府間パネル」の会合が横浜で開かれる。そのなかでの主な議題の一つが地球温暖化の影響とそれに対する「適応策」の検討だ。
CO2削減といった温暖化への直接的な対策は「緩和策」と呼ばれる。それに対して、自然や人間社会のあり方を調整し、すでに進行している、あるいはこれから起こると考えられる温暖化の悪影響を軽減するのが「適応策」だ。
たとえば、今後地球の温度は約2度~4度上昇するという見解がある。この気温上昇によって米や麦などの穀物生産が落ち込み、世界人口の増加と重なって、食糧不足の危険性が指摘されている。また、海面上昇による農地の減少も食糧不足の要因の一つだ。このような状況に対する適応策として、温度変化に適した作物の生産や栽培技術の進歩がある。しかし、技術進歩はすぐに達成できるものではない。また、どの程度温度が上昇するのかも現段階では不確定な部分が多い。温暖化の水準はすでに「緩和策」だけでなく「適応策」を検討する段階に来てしまっている。今回の会合を契機に、温暖化の深刻さをあらためて認識する必要がありそうだ。
文/田中一整
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