日本では今、ちょっとした里山ブームが起きています。かつて人々の暮らしの中心に位置してきた里山が衰退の一途をたどり、現在、あらためてスポットの下に躍り出ている理由はどこにあるのでしょう?
数10年前の里山は、持続可能な資源の調達の場として人の手で管理されていました。落ち葉は堆肥や肥料にし、伐採の時期に達した木々は薪・炭などの燃料に使い、山菜やきのこは食卓を彩りました。手入れが行き届いた里山は子どもたちの格好の冒険の場にもなり、里山はすっかり農村の暮らしの中心に存在していたのです。
そんな里山の姿が一変するのは、化石燃料との出会いからです。里山で持続的に生み出されてきた資源は、しだいに化石燃料由来の大量生産型資源にとって代わられていきます。
私たちの暮らしを支える必要がなくなった里山は、農村の高齢化も影響して人の手で管理されることもなくなりました。その結果、イノシシやシカによる農作物被害、ゴミの不法投棄など、数々の問題を抱えるように……。
こうしたなか、地球温暖化やそれを生み出した持続不可能な暮らしを見直す機運が高まるにつれ、持続可能だった里山の暮らしにもう一度注目が集まるようになりました。
事実、ほんの少し整備を行うことで、かつての里山に近い状態に戻すことのできる場所が各地にたくさんあります。里山の利用頻度があがれば、鳥獣害の被害や不法投棄を減らし、子どもたちの環境教育の場に戻すこともできます。太陽光発電のような再生可能エネルギーを自分たちで共同開発し、現代版里山をつくっていこうという活動も生まれています。
エコロジーオンラインのなかにも、こうした志とフィールドを持って活動している仲間がたくさんいます。その動きを応援すべく、昨年、EOL里山部を結成。次世代につながる自然と人間の共生事業を始めることにしました。
具体的な里山活動の最初の一歩は、栃木県佐野市の里山農園「やぎファーム」にて、年間を通じて行う里山体験。各種ワークショップや農作業、農作物の販売などを手がけていく予定です。
次世代の里山利用が始まります。楽しみながら、一緒に考えていきましょう。
<里山体験例>
3月 ふきのとう摘み
4月 せり摘み・ふき採り
5月 たけのこ堀り/田植え体験
6月 すもも狩り
7月 ため池周辺でキャンプ&BBQ
8月 竹林整備後に流しそうめん
9月 稲刈り体験
10月 収穫祭/芋掘り&芋煮会
11月 柿狩り/みかん狩り
12月 みかん狩り/餅つき/しめ縄作り
キックオフイベントとして、4月12日には、栃木県佐野市富士町で「里山の未来を考えるワークショップ」も実施します。参加ご希望の方は、エコロジーオンラインまでご連絡ください。
EOL里山部 部長 溝越 剛
里山農園「やぎファーム」 園長 青栁 貴紀
栃木県佐野市富士町
食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられるJGAP認証取得
文・上岡裕
編集 中島まゆみ
写真 加藤正幸
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島村 (木曜日, 16 4月 2015 19:12)
Facebookで、佐野のやぎファームという文字を見てこちらにきました。
わたしは唐沢山の麓で生まれ高校生まで育ちました。名前も富士美です。
唐沢山はわたしの遊び場であり、今でもわたしのメンターです。
思わずコメントさせていただきました。
帰省した際には訪れてみたいです(^-^)