4月23日「すべての人が安心して暮らせる社会を目指して」~DV・ストーカー被害から大切な人を守るために~の講演会を開きました。
講師は、栃木県小山市で20年近くDV被害者支援をしている認定NPO法人サバイバルネット・ライフ代表の仲村久代さんです。
被害者が一時的に生活するシェルターは清潔に管理された一軒家。玄関先にはきれいなお花が咲き、こたつ、洗濯機など生活に必要なものはすべて用意されています。洋服ダンスには服が準備されていてどれを持ち出してもいいことになっているそうです。
何一つ持ち出す余裕がない被害者や母子は、不安と恐怖だけを抱きながら逃げてきます。彼女たちの不安を取り除くための心のケアには時間も根気も必要ですが、安心して子どもと一緒に過ごせる、安心して眠ることができるという普通のことが何より大切。時にはママたちが自助グループ(マイセルフ)で、お茶を飲んだり、お話したり。
被害を受けるのは女性だけではありません。児童虐待防止法にも規定されていますが、DVを見たり聴いたりすることも、子どもへの虐待になります。サバイバルネット・ライフでは、そんな心の不安定な時期を過ごしてしまった子どもたちを、今まで体験したことのない川遊びやキャンプ、クリスマスパーティーなどに招待します。夏休みにはママたちの心が疲れてしまわないように1週間の合宿を実施したそうです。多くの大学生やボランティアが協力し、勉強、パソコン、マンガ、子どもたちが各自自由な時間を過ごし、みんなでご飯づくりなどをしました。
また、最近の傾向として、FB、Twitterなどが普及し、DVやストーカー事件にもSNSを悪用する事例が増加しています。SNSを利用した被害を避けるためには、プロフィール公開は最低限にし、公開設定を確認、自宅近くの地名や習慣的によく行く場所は載せない。過去の投稿は一定期間で非公開にするなどの注意が必要です。
ストーカーもDVも根っこは同じ。言葉や暴力、様々なツールを使った脅しによる支配とコントロール。想像を絶する恐怖の行為の多くは家庭の中で行われています。ストーカー、DV=犯罪という概念がない頃、「ストーカー」は「愛情」。「ドメスティックバイオレンス(DV)」は「痴話げんか・夫婦喧嘩は犬も食わない」。「子どもの虐待」は「しつけが厳しすぎた」等という言葉で片付けられ、暴力が正当化されていました。
セミナーで上映されたノルウェーの女性監督が6年かけて完成させたアニメ「パパ、ママをぶたないで!」も仲村さんの講演をすべて表す映画でした。父親の機嫌に左右され常にピリピリした家庭に暮らす少年が、ある日、王様に手紙を書いたことから事態は好転していきます・・・。
日本の現状は、被害者が自分の生活の場から逃げて精神的・肉体的負担を負い、すべてを失うという選択がほとんどですが、海外では加害者の更生プログラムが増えてきているそうです。日本でもそうした方向に進んでいくことが期待されます。
すべての人が安心して暮らせる社会が早く来ることを願ってやみません。
さくらワークシェア事務局 上岡七生美
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