![自然エネルギー学校 in 小諸エコビレッジで、真空管式のソーラークッカーを紹介する藤井智佳子さん](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=300x1024:format=jpg/path/se1ae36ddcb94ed1c/image/i9ea069da8e36bac9/version/1412096285/image.jpg)
9月20日~21日、NPO法人太陽光発電所ネットワーク主催による「自然エネルギー学校」が、長野県小諸市の小諸エコビレッジで開催されました。
同所を会場に行われる自然エネルギー学校は5回目。過去には、自然エネルギーのコンセプトを取り入れたエコビレッジのグランドデザインをワークショップ形式で考えたり、学びの一環として敷地内に市民共同発電所の建設を行うなど、自然エネルギーを通じてエコビレッジづくりに参加するというスタイルをとってきました。これらは、「小さく暮らす」というエコビレッジのコンセプトを、参加者に発信・浸透させることにもつながっています。
![ベランダに垂直に設置された3枚の太陽光パネル。作った電気はパソコン、プリンター、CDプレーヤー、照明、扇風機などに使用](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=300x1024:format=jpg/path/se1ae36ddcb94ed1c/image/if8bcd7f7ff35e5af/version/1412294748/image.jpg)
2日間にわたるプログラムのトップバッターを飾ったのが、「省エネルギーで暮らそう! ミニ太陽光パネルの威力」。独立型太陽光発電システムの組み立て講座と、「ソーラー女子」というサイトの主宰で、東京で電気代ゼロ円生活を実践する織物・染色作家の藤井智佳子さんのお話会の2部構成で、自ら製作したマイ発電所を、実際の生活で活かしていくための知恵とワザを学んでいきます。
藤井さんは2年前に東京電力との契約を解除して、現在は3枚、計211Wの太陽光パネルを使って自ら電力を自給しています。こうした生活にシフトしたきっかけは3.11の大震災でした。都心部からやや郊外にある藤井さん宅は、東京でありながら計画停電を経験。それまでは朝から晩までテレビは付けっぱなしという生活を送っていましたが、電気に依存する生活のもろさ、危うさを、身をもって体感したといいます。
![この日の組み立てワークショップ参加者は小諸エコビレッジからも近い上田市から。写真は、バッテリーに充電コントローラーを取り付けているところ](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=300x1024:format=jpg/path/se1ae36ddcb94ed1c/image/i7858c75668f070db/version/1412271143/image.jpg)
その後、娘さんが地方の大学に進んだのを機に、藤井さんの省エネ生活は本格化。藤野電力などの独立型太陽光発電の組み立て講習会への参加や、省エネグッズ・省エネアイデアの導入、アンペアダウンなどを実践するうちに、当初3000円代半ばだった電気代は、2000円、1000円と劇的に下がっていきました。そして800円を切ったころには「ソーラーパネルだけで暮らせる!」と確信し、2012年の9月1日、電力会社との契約解除に踏み切ったのです。
なかば勢いでスタートしたオフグリッド生活。当時、電気について今ほど詳しくはなかった藤井さんだったからこそ、飛び込めた世界かもしれません。当然、天候不順が続いて契約解除を後悔したことや、発電システムの使い方を間違えることも、少なくなかったといいます。その時の反省と、そこから学んだ電力自給のコツを、次のように語ってくれました。
![調理家電でも消費電力の少ないDC(直流)で動く製品があります。藤井さんも愛用するDC炊飯器「タケルくん」は、太陽光発電の電気だけでごはんを炊くことのできるスグレモノ。ガス代の大幅な節約につながります](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=300x1024:format=jpg/path/se1ae36ddcb94ed1c/image/i91640ff25245ac4b/version/1412305814/image.jpg)
「自分で電気が作れるということにうれしくなって、ついつい使いすぎてしまうんですね(笑)。特に女性の場合、台所にある家電に使いたいという方が多いのですが、独立型の電源は大きな熱を発するものには向きません。結果的にヒューズを飛ばしてしまったり、バッテリーを空にしてしまって、動かなくなったまま、やがて使われなくなってしまうというケースも見てきました。まずは自分の家の電化製品の消費電力を確認して、1日にどのくらいの電力を使えるかを把握することからはじめてみましょう」
![織物・染色作家の藤井さんにとってアイロンは必需品。ところが電気アイロンは大量の電力を使います。そんな時、アンティークショップで出会った炭火アイロンは、大変重宝しているということです](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=300x1024:format=jpg/path/se1ae36ddcb94ed1c/image/i6e6c2770b0927dc0/version/1412395281/image.jpg)
また、省エネ暮らしのキーポイントは熱にあると強調する藤井さんは、仕事で使用している炭火アイロン(写真右)や、窓用の断熱シートをカーテンレールにクリップ止めして開け閉めしやすくするアイデア、ビニール製の給水タンクやペットボトルを黒く塗った自作の太陽熱温水器なども紹介。なかでも特に注目を集めていたのが現在試作中だという真空管式のソーラークッカー(太陽熱調理器)です。中にリンゴを入れて1時間ほど屋外に置いておいたところ、アツアツの焼きリンゴができあがっていました。
いま全国で盛んに講習会やワークショップが開かれ、作られている独立型のミニ太陽光発電システムですが、気軽に自然エネルギーを取り入れることができる一方で、「容量が小さすぎて何に使ったらいいのかわからない」「おもちゃレベルの発電所に過ぎない」という声も聞かれます。しかし、「熱を発する家電には使わない」「DC(直流)家電を積極的に選ぶ」といった、用途やライフスタイルに合わせた使い方をすることで、暮らしに欠かすことのできない“本物”の発電所となることを、藤井さんのオフグリッド生活は教えてくれます。
加藤 聡 編集者・ライター、エコロジーオンライン理事、太陽光発電所ネットワーク理事。大学卒業後、編集プロダクション、広告代理店勤務を経てフリーライターに。環境・サステナビリティをメインテーマに、雑誌からWEB、フリーペーパーまで幅広く執筆中。担当書籍に『地域力 渾身ニッポンローカルパワー』(講談社)等。
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友野 収 (土曜日, 11 10月 2014 06:35)
参加させていただき有難うございました。現在、9.5kwを所有していますが、これとは別個に約250Wパネル1枚での発電所を手づくりしたいと思っています。今回、参加させていただき大変参考になりました。しかし、実際、自分で材料を調達し、組立てるときは、色々と分からないことが発生しそうです。今後もよろしくご指導お願いします。