13日、米国防総省がDepartment of Defense 2014 Climate Change Adaptation Roadmap(国防総省の気候変動適応ロードマップ)という文書を発表した。
この文書の発表に際してチャック・ヘーゲル国防長官が行った記者会見の話を要約すると下記のようになる。
氷河の恵みによって生きている地域においては氷河の減少は水の供給を滞らせることになり、ハリケーンなどの異常気象による被害は社会を不安定化させる。干ばつや穀物の不作は何百万という人たちのライフラインを奪い、大量に難民を生み出すきっかけとなる。アメリカ合衆国も1世紀に1度の大干ばつがこの10年に2回も起きている。
こうした気候変動による問題は軍に対しても大きな影響を与える。異常気象が強さを増し、頻繁に起こるようになると、人道的支援や救助活動が要求され、軍の出動の機会が増える。海岸沿いの軍関連施設は、海面上昇への対応が不可欠になり、トレーニングのあり方や軍のサプライチェーン、必需品の類に大きな影響を与えることになる。
気候変動は食料や水の危機を生み出すことでその国を不安定にさせ、インフラを破壊し、病気を蔓延させ、大量の人間から住居を奪い、難民に追いやることになる。それは経済を阻害し、電気の安定供給も脅かす。これらの問題への対処を誤ると、政権が不安定な国のみならず、安定した国でさえも大きな影響を受け、限られた資源を巡って紛争さえ起きかねない。このように地域が流動化すると過激思想やテロリズムをうみやすくなるだろう。
気候変動は“危機を増幅させる装置”。
実際に大きな被害を出し始めた気候変動は米軍の戦略さえも大きく変えることにつながっている。
<参照記事>
Pentagon Declares War on Climate Change
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