なぜ人を殺したのか?『それは太陽のせい』
アルベール・カミュの「異邦人」はこんなセリフに代表される不条理な世界を描いたことで有名になった。つい先ごろ、この小説が書かれた時代には不条理であったストーリーが今では当たり前になったのかと思われる研究の発表があった。温暖な気候に住む私たちは過酷な気候がどのように人に影響を与えるかを身を持って経験してはいない。私自身、アメリカ滞在中にインドから移住してきた女性に理由はなぜ?と尋ねたところ「暑いから!」という答えが帰ってきたことに唖然とした経験を持っている。
スタンフォード大学のマーシャル•バーク研究員を中心にした3人で構成される研究チームが気候変動と暴力や紛争の関連について実施された数々の調査を再検証し、統計的なとりまとめを行った。
その結果、アフリカにおいては平均気温が1度あがるだけで、内乱のような紛争が20%も増えていることがわかった。気温の変化だけでなく、降雨の状況の変化も暴力が増えることにつながる。これらの気候変動による暴力の増加は、ケンカや暴走、レイプ、殺人などの個人のトラブルから、戦争や内戦なども含む集団の間の紛争にも関係がある。
気候変動が当たり前になった時代、戦争や内乱、暴力犯罪が増えることが予想される。世界が大量消費型の文明をつくって経済戦争を繰り広げてきた結果、ホンモノの戦争の足音が近づくことになった。環境破壊をいかに止めるかということが戦争や暴力被害を抑止する力になることが明らかになりつつあるのだ。
<参照記事>
There’s a surprisingly strong link between climate change and violence
文 / 編集部・上岡
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