地方創生もSwitch for green!

食の恵み豊かな地方におけるあるべきエネルギーとは
食の恵み豊かな地方におけるあるべきエネルギーとは

数年前、津波被害を受けた大船渡を訪ねました。その際、現地で活動する男性で自分も被災しているにも関わらず、高齢者の食事支援をされる方と出会いました。

ちょっとした会話のなかで元の暮らしに戻るには時間がかかりますね~とお話しすると意外な言葉がかえってきました。「浜に行けば漁師の仲間からたくさんサカナをもらえるし、野菜だって近所の人からもらえる。だから数万もあれば暮らしていける。そんなに時間はかからないよ」

真に被災地の人が目指す復興とは?

なんとも気楽な返事に腰が抜けそうになったのを覚えています。元々、自然に囲まれて豊かに暮らしてきた彼の生活の再建は難しいものではなかったのでしょう。当然、すべての人がそんな風に思っていたわけでもないし、まだまだ寄付や助成が必要だと訴える人もたくさんいました。同じ地域でも復興というものに対して大きな意識の差がある。それを強く感じたわけです。

次の支援地の福島ではこんな相談を受けました。 

「いろいろと行政に提案するんだけど、他府県の団体が復興企画をとるようになり、県内の僕らだけでは手に負えない。エコロジーオンラインに手伝って欲しいんだ」

被災したみなさんが自らつくっただらすこ市民共同発電所(岩手県野田村)は復興の理想形!?
被災したみなさんが自らつくっただらすこ市民共同発電所(岩手県野田村)は復興の理想形!?

いつまでも使えるように思えた復興予算もそろそろ終わりに近づいています。手伝おうか!と言っても僕らも他府県から来た団体(笑)。がんばっているみなさんが立ち上がる支えになるならと自然エネルギーや音楽イベントなどのお手伝いをすることになりました。

こうして4年の歳月が経ちました。これまでの支援で僕らの手助けがいらなくなった団体も多くなり、エコロジーオンラインも現地での活動の比率は少なくなりました。現在は地球温暖化情報の発信、再生可能エネルギーの啓発、途上国非電化地域へのエネルギー支援など、エコロジーオンラインのミッションに沿った活動に回帰をしています。

地域より都市で話題に 地方創生

最近、そうした活動の現場で耳にするようになった言葉があります。それが地方創生です。安倍政権の目玉ともいえる地方のための政策ですが、おもしろいことにその言葉を聞くのは東京がほとんど。地方ではあまり聞きません。そもそも地方創生って何でしょう?石破茂大臣の名前で出された内閣府の資料によればこうした目標が掲げられています。  

地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する。そのために、国民が安心して働き、希望通り結婚し子育てができ、将来に夢や希望を持つことができるような、魅力あふれる地方を創生し、地方への人の流れをつくる。人口減少・超高齢化という危機的な現実を直視しつつ、景気回復を全国津々浦々で実感できるようにすることを目指し、従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を、中長期的な観点から、確かな結果が出るまで断固として力強く実行していく。

電力の自由化と地方創生を地域の活力に!

エコロジーオンラインは環境保護の分野で都市と地方をつなぐ事業を手がけてきました。残念ながら僕らが立てた企画は先進的過ぎると言われ、地方ではあまり形になりませんでした。その一方、しぶとく残ったものを見てみると積極的に動く地域の個人や団体が関わったものがほとんどです。地方が元気になるのはやはりこの人の力が重要です。

来年は地方創生とともに電力の自由化が予定されています。この二つは地方にとって大きなチャンス。地方にいると当たり前の自然は都市住民にとって大きな魅力です。そこから生み出される食や文化を持続的な利益に転換することが本当の地方創生だと思えます。そのために地方に人材が育たなければいけない。そうした自立の意識をもたらすことを目的にエコロジーオンラインではこのSwitch for greenというキャンペーンを始めることにしました。ぜひみなさんも一緒にスイッチを!

 

編集協力 / 日本住宅新聞

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