6月18日、あるニュースが地球を駆けめぐった。世界に12億人の信者を持つカトリック教会の頂点に立つローマ法王が、地球環境問題解決のために積極的な一歩を踏み出したのだ。
ローマ法王は時に応じて全世界の司教や信徒たちに向けてカトリック教会の指針を出す。その公文書は回勅と呼ばれ、今回、彼が出した回勅の内容が地球環境問題の解決のため「文化的革命」を起こそうと呼びかけるものだったのだ。
“主よ、あなたは称えられますように。私たちの姉妹である母なる地球のために。地球は私たちを養い、導き、さまざまの実と色とりどりの草花を生み出します。”
アッシジの聖フランシスコの残したこの美しい祈り(太陽賛歌)は、このかけがえのない地球が私たちが命を共有する姉妹であり、私たちを温かく抱く母でもあることを再認識させてくれます。
私たちの野放図な利用によって地球にもたらされた害悪や、主によって与えられた地球資源の濫用によって、今、この姉妹が叫び声をあげています。これまで私たちは自分たちが地球を支配する管理者だと考えてきました。私たちの心のなかには罪科によって生まれた暴力が存在します。この暴力は心のなかにあるだけでなく、害毒にまみれた大地、水、大気、他生命たちの現状にも反映されています。さまざまなゴミを背負わされ、汚れにまみれている地球は、貧しさのなかに飲み込まれ、最も見捨てられ、ひどい扱いを受けています。地球はまさに苦痛のためにうめき声をあげています。私たちは“地球のちり(創世記2.7)”から生まれ、このカラダは地球の様々な要素から造られていることを忘れています。私たちは地球の空気を吸い、水によって命を与えられ、カラダを保っているのです。
世界中のカトリック信者にこの回勅を出したのはローマ法王フランシスコ。聖フランシスコからその名をとった南米生まれの法王だ。聖フランシスコは知る人ぞ知るエコロジーの聖人。彼の半生を美しい自然の映像とともに描いた映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」でも有名だ。
道徳よりも経済を優先する現代文明によって、地球温暖化などの環境破壊が生まれ、地球をゴミの山にしてしまった。その大量消費文明を転換しようとローマ法王は訴える。こうした動きの背景に、年内に予定されているパリでの気候変動に関する国際会議がある。バチカンも、途上国の貧困問題などとともに、世界の人々と対話しながら、この問題を解決する一歩を歩み始めるという。
ローマ法王から世界中の人々に提案された環境問題解決への呼びかけ。この回勅をきっかけとしてどのように世界が動いていくのか。これからもしっかりと見守りたいと思う。
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文 / EOL編集部
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世界の島国サポーター (木曜日, 01 10月 2015 15:15)
カトリックは、その名称の意味の如く普遍性へのアプローチに優れています。宗教、宗派を超えて、人類は、空気と水と光と土と樹木などにより生かされています。これらは人類の共有財産です。信仰が無くても事実は事実です。これらを利己的に国益中心的に破壊し、修復もせず貪ることは、世界人類への罪として、世界組織から問われなければなりません。国連が余りにも力を持ち合わせてないのは、国益代表大使らからなるからです。ローマ教皇やダライラマ法王のような代表的宗教人物が中心に立つ国連の上院議会を作らなければなりません。上院が主体、各国大使らが下院の位置に立ち、上院が心、下院が体としての関係を法的、組織的に確立した国連超宗教超国家連合のような世界政府のようなものを作るべきです。そういう中で、環境、食糧、エネルギー、人口、など世界問題に取り組むべきです。今一度、フランシスコ教皇はそういう掛け声にお働き願いたいです。