
地球温暖化が起きると農業に大きな影響が出ることは誰でもわかる。
北の寒い地域で育つ作物が異常な高温に襲われたら収穫が落ちるし、南の暑い地域ではこれまでその地域に生息しなかった病害虫がやってくるかもしれない。これまで経験しなかった大雨や日照りも農作物の出来を左右する。
いや、それだけじゃない。気候変動は農業を営む人たちの精神を著しくむしばんでいる。オーストラリア南西部にあるマードック大学の研究者たちが発表した。
そんな研究を発表したのはマードック大学の責任ある市民と持続可能性センターのネビス・エリスさん。彼らは小麦の産地であるニューデゲイト町に住む22人の農家にインタビューをした。気候変動の影響をすでに大きく受けている地域で、1970年代にくらべて降雨量が20%も減り、平均気温が1950代から1度上昇している。熱波、霜、干ばつなどをより頻繁に体験するようになった地域だ。
インタビューした農家たちは5~6の違った天気予報のウェブサイトを確認していると言い、なかには一日に30回もチェックする農家もいた。アフリカの嵐がオースラリアに来るかどうかを一喜一憂し、それに疲れるとカーテンを閉め、家に閉じこもる農家もいたという。こうした症状は季節性情動障害といううつ病の一つに近い。
気候変動はこうして人の心もむしばみ始めた。アメリカなどでは農業分野で地球温暖化に適応を図っていく地域センターもでき始めたという。大きな被害が出る前に日本国内でも対応を願いたい。
<参照リンク>
Mental health of Wheatbelt farmers suffering due to climate change
Climate Change Is Taking A Toll On Farmers’ Mental Health
翻訳・文 / EOL編集部
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