エコロジーオンラインがNPOとして立ち上がったのは2000年3月。今からおよそ16年前のことです。
その10年前、理事長となる自分は地球環境問題の解決に寄与する仕事をしようとソニーミュージックをやめ、栃木に住むフリーライターとしてインターネットやエコロジーの記事を書く日々を送っていました。
その活動をまとめる形でつくったホームページが「普通の人のエコロジー」でした。当時はまだ、ブログもソーシャルメディアも存在しません。わかりづらい地球環境問題をどうやって継続的に伝えていくかで悩み、ホームページをつくります。
自分の書いた記事や参考に集めた環境情報が多くの人の役に立つだろうかという不安を抱えながら、栃木から全国へ情報発信を始めます。そのウェブサイトの立ち上げをきっかけに日本国内だけでなく、海外で活動するみなさんとの連携が深まっていきます。
ウェブサイトと同じ「普通の人のエコロジー」と題したメールマガジンには多くの読者が集まりました。読者の数は日を追うごとに増え、あっという間に2000名に近づきました。その読者には環境省に就職して環境行政を担うようになる大学生から、環境マンガ家に転職したサラリーマン、著名な環境ジャーナリストに成長する若者など、その後の日本の環境の取り組みを支えるたくさんの人たちが集まっていました。
そのなかから日々の活動を手伝うオンラインのボランティアも生まれました。そうしたボランティア活動に信頼性をもたらすためにNPO法人の立ち上げに踏み切ります。こうしてインターネット上で活動する日本発のNPO、エコロジーオンラインが誕生します。
エコロジーオンラインの初期を支えてくれた仲間にはミュージシャンの坂本龍一さんもいました。エコロジーオンラインの記事をウェブで紹介したいとお声がけをいただいたところからおつきあいが始まり、アースデイフォーラムというイベントの実施、アーティスト自らが自然エネルギーの普及に関わるアーティスツパワーの立ち上げをご一緒することになります。
インターネットという新しいツールが、住む場所も業界も違う人々の間の溝を埋め、一つの思いで個人をつないでいく。そんな奇跡のようなことが目の前で起きていきます。坂本さんがコーディネートしたアースデイフォーラムではそんな感動を胸に当時のマイクロソフトの日本法人代表の古川亨さんと地球環境問題を解決に向けたインターネットの可能性について語り合いました。そのイベントは後に単行本化され、インターネットの可能性を信じる若者が、僕らを訪ねてくるよいきっかけを提供するものとなりました。
ウェブだけでなく、ソーシャルメディアや映像、キャラクターなども有効活用するようになった今でも、その感動を忘れることはありません。
文 / エコロジーオンライン理事長 上岡 裕
コメントをお書きください