気候変動で地球上の水の循環に大きな影響が出始めている。
なかにはかつてない水不足に陥る地域もあれば、大雨に見舞われる地域もある。日本国内でも冬に降る雪が少なくなった。そうすると必然的に山から流れ出す川の水量が減少する。川を流れる水量が減少すれば水力発電の発電量も減少する。
地球温暖化が進むとこんな具合に水力発電の発電量が減少する。ただ、どのように気候が変わっていくかは地域によってばらつきがある。すべての地域が水力発電の電力が減るわけでもない。
今回、気候変動がどのように世界の発電所に影響を与えるかを調べた結果が発表された。それによると、水力発電だけでなく火力発電や原子力発電も大きな影響を受けるという。
なぜ、気候の変化が火力発電や原子力発電に影響を与えるのか。その発電方法に大きな関係がある。火力と原子力は熱をつくるエネルギー源が違う。だが、水を沸騰させて蒸気でタービンを回して発電することにかわりはない。そのために常に水が必要だ。そしてその水を冷やすために大量の水が必要になる。
大量に使われる水の温度が上がったらどうなるだろう。当然、水を冷やす効率が悪くなる。効率が悪くなれば発電量に大きな影響が出るという理屈だ。
1月4日に「nature」に発表された研究によれば世界の2/3の発電所が気候変動による水循環の変化のため能力どおりの発電が難しくなるという。2050年代までに水量の減少と水温の上昇によって火力、原子力、バイオマスは毎月30%、水力発電は3.6%発電量が減る可能性がある。水力については2080年代にはその倍になるらしい。それぞれの発電所の効率をあげ、水を使わずに冷却することも視野に入れるべきなのだという。
今後ますます途上国のエネルギーの需要は高まっていく。再生可能エネルギーは不安定だという声も多く聞かれるが、水蒸気でタービンを回す発電方法も同じように不安定さを抱えていることがわかった。太陽光や風車など、水に依存しないエネルギーの安定性をあげるとともに、省エネでエネルギー消費全体を減らす努力も待ったなしだ。
<参照リンク>
Power Plants Threatened as Global Warming Affects Water
Supplies
Power-generation system vulnerability and adaptation to changes in climate and water resources
翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所
www.eco-online.org Blog Feed
未来のチョコレートはカカオなし?持続可能な代替食品への挑戦 (木, 24 10月 2024)>> 続きを読む
気候変動によりアフリカ全土で進む移住 感染症が拡大する恐れも (Fri, 04 Oct 2024)
>> 続きを読む
2050年までに50の世界遺産が消える!?気候変動が奪う人類の宝 (Mon, 30 Sep 2024)
>> 続きを読む
永久凍土から有害金属が放出される?! 北極に眠る「水銀爆弾」の脅威 (Fri, 27 Sep 2024)
>> 続きを読む
「自然保護区増加」と「気候変動緩和」の両立が必須 東京大学が発表 (Mon, 09 Sep 2024)
>> 続きを読む
災害に弱い動物を守る。求められる管理対策と理解 (Thu, 05 Sep 2024)
>> 続きを読む
「ノアの方舟」、動物のDNAを乗せ月へ 絶滅危惧種を守る画期的な計画 (Thu, 29 Aug 2024)
>> 続きを読む
気候危機の映画はレア?!政治的メッセージへの反発が関係か (Tue, 27 Aug 2024)
>> 続きを読む
急激なCO2の排出は大量絶滅を引き起こすか?ジュラ紀の石灰岩が手がかりに (Tue, 20 Aug 2024)
>> 続きを読む
未来の生態系が壊される。パキスタンの氷河を脅かす二重の脅威 (Fri, 16 Aug 2024)
>> 続きを読む
コメントをお書きください