
フロリダと言えばアメリカを代表するリゾート地だ。青い海、白い砂、パームツリー、ディズニーワールド・・・。世界の人々にプレミアムな癒しを与える場であることは間違いない。
だが、この付近の海にすむウミガメにとったら、その状況は一変する。なんと、知らず知らずのうちにたくさんのコブ(腫瘍)ができ、見ること、泳ぐこと、食べること、すべてを困難にする病気が流行っている。
なぜ、ウミガメにコブができるのか。そこにはやはり水質汚染と温暖化が深く関わっている。
フロリダキーズにあるウミガメ病院(The Turtle Hospital)にはケガをしたり、病気になったウミガメがたくさんやってくる。その病院の仕事はウミガメたちを救助し、治療し、海にもどすことだ。最近、彼らが面倒をみるウミガメたちのなかに、たくさんのコブを持つものが多くなってきた。その数は年を追うごとに増えている。
この付近のアオウミガメの5割が持つというこのコブの正体は線維性乳頭腫。このコブはヘルペスウイルスの感染によって発症。カリフラワーのような形状を持ち、ウミガメたちの運動能力を著しく傷つける。この病院のドクターたちの手術によって9割のウミガメが海に帰って行く。だが逆に救助されないウミガメは命に危機にあると言える。
さて、専門家たちはこのコブが増え続ける要因はふたつあると考えている。ひとつが都市排水や農業排水に含まれる過剰な窒素分を吸収した藻を食べること。そしてもうひとつが海水が温暖化傾向にあること。温度があがることでいろいろな化学反応が起こりやすいというのだ。
人間の文明から生まれる窒素や二酸化炭素が彼らの暮らしに大きな影響を与え始めている。しかもその影響は複合的だ。包括的な保護政策が必要だと言えるだろう。
<参照リンク>
The Turtle Hospital
The Turtle Hospital newsletter
Gruesome Tumors on Sea Turtles Linked to Climate Change
and Pollution
翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所
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