このまま地球が温暖化したら、私たちの食べ物は大丈夫か?
そんな漠然とした不安を感じる人もいるだろう。実際にシリアの紛争のきっかけに長く続いた干ばつが関係したという研究もあるし、オーストラリアで続く高温と干ばつで神経症になってしまった農家の人たちも出てきている。
これから気候が温暖化すると高温の状態や水不足の状態が長く続いたりする。現代の農業では農家の収益をあげるための品種改良が行われてきた。その品種改良によって私たち人類の生存が脅かされている。
私たちは緑の畑に囲まれると心が癒される。だが、その緑の中身までは気にすることがない。その緑が多種多様な遺伝子を持つ作物によって構成されているなら、暑さ、寒さ、多湿、乾燥など、多少の気象の変化があっても植物が生き残ることができる。だが、その緑が単一の遺伝子を持つ作物によって構成されているなら、そうした環境の変化によってすべてが淘汰されることだって起こる。
そうさせないためには、新種の作物だけでなく、野生種や古代種のなかに息づいている様々な環境に強い遺伝子を残しておかなければならない。世の中には遺伝子を守るために活動する科学者たちもいる。その奮闘を追ったのがサリー・イングルトン監督の「シード・ハンター」だ。科学者たちはインディー・ジョーンズばりの冒険をして遺伝子を探しに中央アジアのカザフスタンを訪ねる。内戦が続き、地雷が埋められた平原もなんのその、旅の最後には求める野生種や古代種の植物を探し出し、未来世代のために北極圏にあるシードバンクに蓄える。
気候変動などのシビアな情報を文章や言葉で伝えようと思ってもなかなか伝わらない。一方、映像で伝えられると、すっと頭に入ってくる。23日から日比谷図書文化会館で開催されている「グリーンイメージ国際環境映像祭」はそんな作品の宝庫だ。気候変動、自然破壊、不公平な食の分配、被災地の現状など、多様なジャンルのグリーン映像が集まった。
明日はその最終日。シンポジウム「馬と暮らす里山」には映像スタッフだけでなく、現場を担う人たちも登壇し、意見が交換される。また、特別上映される「映像で伝える森を活かす古くて新しい技術・馬搬(仮題)」も、人間と生命が織りなす新しい林業を姿を伝える作品としてぜひ見てもらい。参加には協力費として1日1,500円、学生は1,000円が必要だ。日比谷公園の桜の開花というおまけもある。ぜひ、参加してみて欲しい。
グリーンイメージ国際環境映像祭
環境のプラットフォームとしての映像祭を目指す(エコピープルインタビュー)
文 / ソーシャルエコロジー研究所