夏の海辺をのぞいてみると…
この夏休み、もう海へは出かけましたか? 海水浴もいいけれど、タイドプール(潮だまり)の観察も忘れずに。こんな時にしか出会えないいろいろな生き物がそっと暮らしています。ちょっとした好奇心があれば、その名前や暮らしぶりをきっと知りたくなるはず。夏休みの自由研究のテーマにもいいですね。
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潮時をチェックして、いざ、天然の水族館へ
illustration潮が引いた後の岩浜にできるタイドプール(潮だまり)は、さまざまな生き物が息づく天然の水族館。干潮の前後2時間くらいが観察のねらい目ですから、釣り具屋さんで売っている「潮時表」や新聞の地方欄でチェックして出かけましょう。満月や新月の日は、潮の干満の差が最も大きくなるので、より広い範囲で生き物を観察できるチャンスでもあります。水に住む生き物は水面の動きや物音に敏感ですから、まずは手を出したりせずにじーっと待つことが肝心。目をこらしていると小さな生き物たちが少しずつ目に入ってきますよ。
タイドプールのおもしろい生き物たち
引っ越し好きなヤドカリ
体が成長するにつれて、大きな貝がらへと引っ越しするヤドカリは、エビとカニの中間のような動物。体のお腹の部分が柔らかいので、貝がらに入って身を守っています。そのお腹は、右側にねじれているため、巻き貝にぴったりはまるというわけです。
カニのオス・メス、簡単な見分け方
それは、カニのお腹を見るとわかります。三角形の部分が大きいのがメス、小さい方がオス。メスの腹部は、卵を抱きやすいようにはばが広くなっているというわけです。カニはとてもかくれ上手なので、岩の割れ目や海草のかげなどをしんぼう強く観察してみましょう。
イソギンチャクは海の花
潮が引いている時は、岩の上で、縮んで丸くなっているためほとんど目立ちませんが、いったん潮が満ちると、細い花びらのような触手(しょくしゅ)を広げ、毒針をさしてえものをとらえて、まん中にある口から食べます。真っ赤なウメボシイソギンチャクやうす緑色のミドリイソギンチャクなどがよく見られます。
吸ばんを使って上手に歩くウニ
一見、いがぐりのようなトゲのかたまりにしか見えないウニ。でも、トゲとトゲの間には、くだのような形をした「管足(かんそく)」という柔らかい足が何本ものびていて、その先の吸ばんで岩や海草に吸い付きながら歩くのです。体の下側には、海草などをちぎって食べるための口と歯だってちゃんとありますよ。
どうもうな海の星・ヒトデ
ヒトデのうではふつう5本ですが、種類によっては8~10本持つものや、うでを持たない丸いものもいます。うでの裏側には吸ばんがついており、歩いたり、えものを押さえつけたりする時に役立てます。食事をする時は、魚やカニ、貝などにおおいかぶさり、裏側の中央部にある口から胃を出して包みむように食べるのです。
フジツボはハサミのないエビ?!
岩場にはりついているフジツボや、カメの手にそっくりのカメノテ。どちらも貝のように見えるかもしれませんが、実は、エビやカニと同じ甲殻類(こうかくるい)の仲間だというのですからちょと驚き。海水が満ちてくると、フジツボはてっぺんの穴から、カメノテはからを開いて、たくさんの細いつるあしをのばしてプランクトンを集めて食べます。
ビーチコーミングにトライ!
海辺には、いろいろなものが打ち上げられていますね。それらを集める「ビーチコーミング」に挑戦してみませんか。貝がらや魚の骨などは、海に住む生き物のようすを伝えてくれるし、空き缶や空きビンなども、よく見ると日本のものでなかったり…。貝がらや海草などで標本を作ったり、流木を使って工作したりするのも楽しいですよ。
自然観察はなぜ大切なのでしょう?
夏休みは、海や山に行って自然に親しむ絶好のチャンス。とはいっても、家でコンピュータゲームしてる方がおもしろいなんて人はいませんか? でも、昔のままの自然が少しずつなくなっている今、海で直接生き物にふれたり、林で昆虫の生活を観察したりすることはとても大切なことです。なぜなら、「自然の楽しさを知ることが、自然を大切にする気持ちを育てる第一歩」だから。この夏休み、そんな自然観察の達人がたくさんふえたらいいですね。
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