海に漂うプラスチックゴミはどうも美味しい匂いを発しているらしい!

海に漂うプラスチックゴミが放つ「匂い」。そのせいで海鳥はゴミをエサだと勘違いする。写真はアオミズナギドリ。Phto:UC DAVIS
海に漂うプラスチックゴミが放つ「匂い」。そのせいで海鳥はゴミをエサだと勘違いする。写真はアオミズナギドリ。Phto:UC DAVIS

私たちの暮らしから生まれるプラスチックゴミが海の生きものたちを苦しめている。

死んだ海鳥の胃袋のなかを調べてみると、プラスチックゴミがたくさん詰まっていたという事例も多数、報告されている。

なぜ彼らはプラスチックゴミを食べてしまうのか。その理由としてゴミが発する匂いがその原因となっていることがわかってきた。その匂いがゴミをエサとカン違いさせてしまうのだ。

これまでプラスチックゴミが、ミズナギドリや、アホウドリなどの海鳥に与える影響について調査されることはあまりなかった。それにチャレンジしたのがUC Davisの研究者たちだった。

彼らの調査によれば、これらの海鳥は長年にわたってオキアミなどを食べてきた。オキアミがエサとするのが藻類だ。

藻類がオキアミに食べられた時に有機硫黄化合物のジメチルスルフィドを分泌する。海苔の香り成分として知られるこの匂いを感知すると海鳥たちは大好物のオキアミがいると誤解してしまう。そのためプラスチックゴミを飲みこんでしまうというのだ。

海洋に流れ出したプラスチックゴミがどういう過程でサカナやウミガメなどに食べられるのかはまだ解明されてはいない。苦しむ生き物の側にたったこの研究をベースに様々な研究が行われていくことになるだろう。

私たちの暮らしを便利にしたプラスチックをゴミとして排出しない文化をつくるのは容易ではない。国の規制などを通じてプラスチックゴミの総量を減らし、いかに流れ出たゴミを回収し、海の生き物がそれを食べないような対策をとるか。本格的な取り組みはまだ始まったばかりだ。

<参照ページ>

Why Do Seabirds Eat Plastic? The Answer Stinks
Marine Plastic Debris Is an Olfactory Trap for Seabirds

翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所

 

www.eco-online.org Blog Feed

【EOL+AI】世界最小のゾウ、生息地を失う 伐採と油ヤシ農園の拡大が及ぼす影響 (金, 12 7月 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】90万年前、人類はわずか1300人しかいなかった?! (Thu, 11 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】‘‘海のコカイン’’がもたらす悲劇 絶滅寸前の「コガシラネズミイルカ」 (Thu, 11 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】音楽とチェダーチーズが交差する?草の上でロックフェスが開催 (Wed, 10 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】人間による絶滅危惧種の増加 vs 人間による保護活動 (Tue, 09 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】現代人のメンタルヘルスが危ない?!加速する気候変動の弊害 (Fri, 05 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】気候変動が子供の脳損傷に関連か 主な被害者は貧困層 (Thu, 04 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】気候変動が健康に悪影響を及ぼす?!猛暑による体への多大なリスク (Wed, 03 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】亜酸化窒素排出量の急激な増加が気候変動を加速させる?!軽視できない亜酸化窒素の実態 (Tue, 02 Jul 2024)
>> 続きを読む

【EOL+AI】迫り来る『終末の氷河』消失へのカウントダウン (Mon, 01 Jul 2024)
>> 続きを読む

«一つ前のページへ戻る