東京五輪の招致にあたって“東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会”が内外に宣言したことがある。東京オリンピックをかつてない「環境五輪」にするということだ。
その宣言は重視されないままに現在に至る。さらなるコスト負担が懸念され、環境対策まで手が回らないのが現状なのだ。
そんな状況のなかで「国民の力でエコなメダルをつくろう!」と呼びかけるプロジェクトがある。愛知県大府市が立ち上げた「都市鉱山メダル連携促進委員会の活動だ。
大府市は元々、「金メダルのまち」として知られ、柔道の吉田秀彦や、女子レスリングの吉田沙保里などを中心に、数多くのメダリストを輩出してきた。そして市内には、パソコンや小型家電などを宅配便で回収し、再資源化するリネットジャパンという会社もあった。
そうした地域特性を生かし、大府市役所の市民協働部環境課を中心に、リネットジャパン、吉田選手の母校、至学館大学などが協働体制をつくり、「都市鉱山メダル連携促進委員会」が誕生した。それが10月のことだ。この活動が目指すのは、全国各地で実施される市民マラソン大会のメダルを、小型家電から回収された金属(都市鉱山)でつくること。まず手始めとして2017年の「大府シティ健康マラソン」のメダルの製作を呼びかけた。
その後、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から「都市鉱山から作る!みんなのメダルプロジェクト(仮称)」の事業者を選定する告知が行われることになる。東京オリンピックのメダルも都市鉱山からつくることが正式に決まったわけだ。
実際に東京オリンピックのメダルをつくる事業者は、1月中旬に行われる審査会の結果によって決定される。大府市を中心とする取り組みに決まるかどうかは未知数だ。だが、メダルが必要になるのはオリンピックだけではない。市民マラソンもあれば、アジア大会もあれば、ワールドカップだってある。大府市の環境課にはすでに100近い自治体から賛同する主旨の連絡が届いている。
全国の自治体と市民を巻き込んで「環境五輪」としてのエコなレガシーを残せるか。エコロジーオンラインも大府市と全国の自治体の活動を応援していきたい。
<参照リンク>
都市鉱山メダル連携促進委員会
「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト(仮称)」における事業協力者の選定
文 / ソーシャルエコロジー研究所
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