久保田麻琴のソロ第一作からの1曲。
全体的にフォーキーで暖かなアルバムであるが、この曲は特にドラッグの影響が強いと思われる。
アルバムにおいて久保田麻琴自身が作詞・作曲を担っている曲は他の曲に比べ、直接的である。
例えば「山田氏の場合」は明らかに3週間の収監体験に基づいているし、他の曲も「雲の上」「空の上」にやたらこだわるところなどは、ヒッピー気分そのままといった感じだ。
だが、この曲においてはまるで詞はジョン・レノン、曲はヴェルヴェッツのようだ。この例えから予想されるように非常に美しいドラッグソングである。
プラスティックのお城や、コンクリートの国という表現が、言うまでもなく現代文明のことであることを踏まえれば、単に自然の中に生きようじゃないかというメッセージソングではないかと思われるのだが、オリジナルの歌詞カードではコーラス部分のみ、段落が異なっている。
そして、よく見ると2つの段落では話者の視点も異なっている。つまり対話調になっているのだ。
サイケデリックに意味なんてと思われるだろうが、無理やり解釈するならば、発狂間近の三重苦の人間を意思を持ったドラッグが救うという内容である。
久保田麻琴は直接的な歌詞を書くことを考えれば、あとは言わずもがなだろう。
文 / 上岡 ケン
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